実はね…夏油傑が現れたんだ。
!?
は…?傑が現れた…?
いくらあなたでもそんな冗談聞けないんだけど…?
…
兄さんが怒っているのが声だけで分かる。
昔の私ならここで逃げて引いてた。
けど今はもう…
(絶対に逃げない。)
今ならちゃんと…
(向き合える。)
…兄さんが戸惑う理由も分かる。
私だって正直頭の整理が追いついてない。
だって死んだはずの友人が生き返ってるんだもの。本当ならそんな事あり得ない。
けど実際に生き返ってこの世界でのうのうと生きてる。私はそれが許せない。
実際何も思ってない訳じゃないの。
兄さんと同じで私も今すごい怒ってるよ。
だから…今は落ち着いて私の話を最後まで聞いて欲しいの。…良いかな?
…ごめん。取り乱した。
いいよ、続けて?
僕がそういうとあなたは安心したような表情をして、話を続けた。
傑と会ったのはあのUSJの時だけ。
あの時兄さん電話で敵と呪霊が手を組んでいるのを見たって教えてくれたでしょ?
まさしくその通りだったよ。
あの黒いモヤの個性を持ったやつから大量の敵と大量の呪霊が出てきたの。
そしてそれと同時にアイツ…傑が出てきた。
そしてその時アイツはこう言ったの。
「やぁ。久しぶりだねあなた。」って。
えっ…?
それってもしかして…
うん。多分だけど傑は昔の記憶が残ったままの状態なんだと思う。
けど確かにアイツは死んだはず…だよな?
…これは私の予想なんだけど、多分傑は傑だけど傑じゃない。
…どういう事?
多分体は傑本体だよ。けど脳の部分が傑じゃない“何か“が傑を支配してるような気がする。
…
そして傑はあの時私にこう言った。
「次会う時は仲間でいられることを願っているよ。」
!?
という事はまた傑は近い内に何かを仕掛けてくる。それに、USJの事件の後雄英の門が破壊されていたの。そこにいた呪霊を倒した時傑の呪霊の残穢が見えた。
!?
…これは誰にも話していなかった事なんだけど、USJの事件の前からずっと祓った呪霊の残穢が残っているのが気になってたの。
それが普通の残穢ならまだ良かったんだけどね。その残穢を見た瞬間、頭が真っ白になった。だってその残穢が見えるなんてあり得ないから。けどいくら呪霊の残穢が傑のものだったとしても、その証拠がない。だから黙ってたの。
それにこの前恵と一緒に行った任務の時にも特級呪霊が出てきた。それだけじゃない。下級の呪霊も大量に。恵は気づいてるか分からないけど、その呪霊の残穢も全部傑のものだった。
その時からおかしいってずっと思ってた。
そんな事ないってずっと思い込んでた。
死んだはずの傑が生きてるなんて事。
でもUSJの時に傑を見た瞬間、いろんな思いが込み上げてきて。聞きたい事、知りたい事がたくさんあったのに…
…結局聞けなくて、あの後傑と戦ったけど何もできなくて。いつ傑が襲ってくるか分からない。その事だけが分かって、けど手を打とうにもどうにもできないから時間だけが過ぎていって。誰にもいうことが出来なくて。
…話が変わるけど、この前兄さんや伊知地さんにも電話で言われた事だけど、最近呪霊の動きが活発化してるって言ってたでしょ?おそらくだけどそれも傑とその傑を慕う呪詛師達の仕業だと思う。いくら上層部が私たちに嫌がらせで任務を増やしても、アイツらに呪霊を増やす術がない。まぁないと思うけどマジでそんな事してたら本当に最低野郎だけどね。
もし傑や傑と一緒にいる呪詛師達の仕業だとしたら、全ての辻褄が合うのよ。急に呪霊が増えた事。その呪霊が活発化してきている事。そしてそのせいで、たくさんの術師の被害が出てきている事。特級呪霊の任務も前よりも増えてるしね。このまま傑達を放っておいたらさらに被害者、犠牲者が出る。
私はもう大切な人を失いたくない。無くしたくない。傷つけたくない。
だから…あんまりこんな事頼むのも嫌なんだけど、兄さんも力を貸して欲しいの。
私一人だけの力だけでは、どうする事もできない。兄さんが忙しいのも分かってる。
でも私だけじゃどうにも出来ないの。
だから…!
…あなた。
…
そんな事、誰にも相談せずに一人で抱え込んでたの?
…当たり前でしょ。
こんな事話したらその人達まで巻き込むことになるもの。
…本当あなたは優しいね。
…そんな事ないよ。
ううん。あなたは優しいよ。
僕よりもずっとずっと。
…協力するよ。いや、させて欲しい。
!?いいの…?
当たり前でしょ?
それにこんなにあなたが必死に説明してくれたのに、逆に断る方が最低でしょ。
それに…もしアイツがそんなことをしようとしているのなら、今度こそ絶対に止める。
そして今度こそ決着をつける。
もう絶対に同じ過ちは繰り返さない。
…兄さんは本当に傑の事が大切なんだね。
当たり前でしょ?
だって傑は、僕のたった一人の親友だからね。
…そっか。そうだよね。
…兄さん!
?どうしたのあなた?
…ありがとう。
私の話を最後まで聞いてくれて。
信じてくれてありがとう。
…なんだそんな事か。
全然大丈夫だよ。
妹の願いを叶えるのが兄の仕事だからね。
あなた。
?
…絶対に止めよう。
傑達が何を考えているかは分からないけど。
手遅れになる前に、絶対に。
…!うん!
そうと決まったら早く悠仁達のところに戻らないとね!行くよあなた!
うん!
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