重岡side
しばらくすると先生が出てきた。
先生「ちょっとお話よろしいでしょうか。」
先生「神山さんの体のことなんですが、神山さんの肺の腫瘍は大きくなってきています。」
先生「このまま薬で少しでも長く生きられるようにするしか治療法はないんです。」
先生「必ずと言っていいほどです。」
今、俺の頭は絶望的だ。は?神ちゃんは必ず死ぬ?
うそやろ?
なぁ先生。嘘やって言ってよ!
神ちゃんの昔の事聞かへんと!
先生「それは...」
先生「個人情報なので伝えることが出来ないんです。」
やばい。つい興奮してもうた。ここ病院なんや。
先生「重岡さん。落ち着いてください。」
先生「神山さんは、生まれた時から肺が弱くて生まれてからすぐICUの患者でした。神山さん、いえ、智洋くんはもう10歳まで生きることが難しい子だったんです。」
先生「でも奇跡的に智洋くんが生きているうちに治療法ができたので、智洋くんはその病気にかかって18年。つまり18歳の時に治りました。」
先生「でも、今回はどんどん腫瘍が大きくなっておりますし、もう長生きするということは無いでしょう。」
先生「あと、今回はいいんですけど、次回から検査入院が必要となりますので、よろしくお願いします。」
神ちゃん。
なんで教えてくれへんかったん?
そんなに辛い病気やったなら言ってや。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!