康「なぁなぁ龍太くん」
龍「なにー?」
康「これとこれ、どっちがいいかな」
今日も楽屋では向井康二が雑誌を広げて、龍太くんにべったりです。
だいぶ見慣れた光景ではあるけれども…。
真「あなたちゃん、めっちゃ気にしてるやん」
『やって、真鳥くん、あんなん私でもやらんもん』
じーこは龍太くんの膝の上。
私は真鳥くんのヘアセット中。
真「行けばええのに」
『真鳥くんの髪の毛中途半端になるよ?』
真「それはいやー」
『それに楽屋やし…』
真「家やったら、やるん?」
『やらんよ!あんなベタベタ出来ひん』
龍太くんが嫌がったり、
恥ずかしがったりするのが目に見える。
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じーこはええなぁ。
なんて思いつつ、わたしは道具のお片付け。
まだあの二人は一緒に居てる。
『あち、』
よそ見をするものじゃない…、
熱いままのヘアアイロンに触れてしまった。
誰や、コンセント抜かんかったの。
急いで流水で冷やしに行って、火傷に効く薬を探す。
指先がジンジンする…。
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薬を塗って、アイシングして、
何とか腫れなさそう。
あの二人は、コンビニへ買い物に行ったよう。
真「もっと素直になりや」
丈「龍太くんにもっと怒ったってええんちゃう」
真鳥くんと丈くんにめっちゃ言われるけど、
わたしはわたしで長年のプライドもある。
と、龍太くんたちが帰ってきた。
2人でパピコ半分ことか、やってることカレカノやん。
『はぁ、何やってん、』
康「ええやろ」
思わず、口に出てたらしい。
じーこは気づいてマウントとってくる。
龍太くんは気づいてないらしい。
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パピコを食べ終わった龍太くんは、
どうやら眠たいらしい。
康「龍太くん寝るんー?」
龍「腹いっぱいやねんもん」
康「じゃあ、俺も寝よー」
むむむ。
(小声)
真「ほら、はよ行けって」
『…嫉妬とかしてへんもん、』
真「めっちゃ嫉妬やん、ほらー」
ぐっと真鳥くんに背中を押され、龍太くんとじーこの横まで来る。
『まとくん、ちょっと、』
龍「あなた?」
やっと存在に気づいたように龍太くんがこっちを見る。
龍「って、どうしたん?!その手!!」
びっくりして起き上がった龍太くん。
わたし、さっきの火傷忘れとったわー。
『あー、アイロン触っちゃって』
龍「ちゃんと薬塗ったん?!」
『塗ったし、冷やしたよ』
龍「アイス食べてる場合ちゃうかったやんな?!」
『わたしも忘れとったもん、これ』
わたしのことで、あたふたしてる龍太くん見ると、愛されてるなーと改めて思う。
康「もーええわー、みっちーんとこ行こ」
やっとじーこも離れていきましたとさ!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。