第19話

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2020/07/23 06:00



龍「あーあー、もう、喧嘩せんといてや!」

『元はと言えば龍太くんが悪いやん、』

龍「そ、それはほんまにごめん」



わたしとじーこの言い合いに、
割って入ってくる、取り合いの張本人。



『じーこ、ほんま意地悪い!』

康「そんなことないですぅー」

『龍太くん何とかしてや』

龍「巻き込まんといてよ」

康「あ、ゲーム続きやろうや」

龍「ちょ、康二も、」



そう言ってまたゲームを付け始めるじーこ。

また龍太くんそっち行ってまうやん…。



『やだ、ゲームだめ』

龍「いやでも、今ええとこなのよ」

『いつ終わるん』

康「ほら、龍太くん早よしてやー」



ほらまた、龍太くんの視線はゲーム。



放置されるのも寂しくて、
龍太くんのお腹に手を回して、背中にくっついた。





_





龍「…て、……てや、」



龍太くんの声がする。



龍「あなた、そろそろ起きて?」

『んぅ…いやや、』

龍「俺、めっちゃトイレ行きたいねんけど!」



おっと、それは困った!

抱きついていた手を解くと、
龍太くんは一目散にトイレへ。

さっきまであった背中の温もりが、
急に無くなって寂しい。



外は雨が上がって、夕方になっていた。



康「ずっと寝てたやん」

『龍太くんの背中、寝心地ええねんで?』

康「子どもか」

『じーこに言われたくありませんー』



_



結局その後もゲームは続き、
早めの夕食を食べてからじーこは帰っていった。



龍「あなたおいで?」



わたしが洗い物を終えると、
龍太くんは手を広げて待っていた。



ぎゅ、



龍「今日は構ってあげれんくてごめんな」

『ほんまに、寂しかった』

龍「今度の休みは、ちゃんとデートしよ?」

『絶対じーこに連絡せんといてよ』

龍「俺からはせーへんから!」

『じーこから連絡来ても、返信したらあかんよ?』

龍「はいはい」



その日は、龍太くんに構ってもらえなかった分、ぎゅっと抱きしめてくれた。

そして、ふんわりと龍太くんの匂いが、
優しくわたしを包んでくれたのだった。




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