第3話

先生、私でもお役に立てますか?
2,299
2021/12/12 01:00
黒月先生
黒月先生
あの……失礼を承知でお聞きするのですが……。
どこかでお会いしましたか?
先生の名前を知ってる言い訳……。
大人の彩香
大人の彩香
ええと……
言い訳……言い訳……言い訳……。
先生イケメン……。目がキラキラしててキレイ……。

じゃなくて!言い訳だってば……!
先生ばっかり見てないで集中集中!

ふらふら泳いだ目線がもう一度、先生に戻る。
だって、やっぱり先生イケメンなんだもん!

先生はまだ、私をキラキラした目で見つめていた。
心の彩香
心の彩香
(……先生そんなに見つめないで……!)
大人の彩香
大人の彩香
……し、親戚!そう!花芳彩香の親戚!
黒月先生
黒月先生
……えっ!花芳の?世の中狭いなあ
先生は納得したような、びっくりしたような顔。
涼し気な目元が丸くなる。
いつもクールな先生の表情が崩れるなんて、超レア……!
しかも、カッコいいって、もう!

そんな時、聞き覚えのある声が……。
女神さま
女神さま
(ちょっと!大人なんだから、
ちゃんと挨拶しなさいよッ!)
えええ!?そっか……!
あわあわと慌てて、私は挨拶するために
勢いよく立ち上がった。
大人の彩香
大人の彩香
彩香がお世話に……っ!?
ヤバい!
足、くじいてたんだった!!!
また転んじゃう――!
黒月先生
黒月先生
……っと!大丈夫ですか!?
先生はよろけた私をしっかり抱き留めてくれた。
大きな手が私の腰を支えている。
守ってくれた先生のぬくもりがあたたかい。

先生の顔!近い近い近いッ!
シャンプーの匂い?
ふんわりいい香りで、ぽーっとしちゃう……。
心の彩香
心の彩香
(わあ!どうしよう!ぎゅってされてる!)
バクバクする心臓が痛くて
足の痛み、忘れてた……。
でも、先生に心配かけちゃいけない!
大人の彩香
大人の彩香
だ、大丈夫です。先生
黒月先生
黒月先生
ちょっと失礼します
先生はそっと私の足首に触れる。
心の彩香
心の彩香
(ひゃあああああああ~~~~!)
先生の手が私の足のいろんな場所に触れていく。

ん~!すごい緊張しちゃう……!
顔赤くなってない?汗かいてないかな?
先生のこと、見てられないよぉ……。

私は両手で顔を隠してしまった。
大人の彩香
大人の彩香
…………痛ッ…………!
なんか、チアで怪我したあの日に似てる……。
けど……。
心の彩香
心の彩香
(……やっぱり恥ずかしいよお!!!!)
黒月先生
黒月先生
やっぱり病院に行った方が……
私は慌てて首を振る。
こんな姿じゃ病院なんて無理だもの。
大人の彩香
大人の彩香
ダ、ダメです!ぜーったいダメ!
保険証とか持ってないし!お金も無いし!病院怖いし!
とにかくぜーったいぜーっっっっっったいダメ!です!
全力で拒否する私に、先生は何かを察してくれたみたい。
私の気持ちを思ってくれてるんだな。
そんなさりげない優しさも先生の好きなところの一つ。
黒月先生
黒月先生
じゃあ、せめて僕の家で手当てだけでもさせてください
えっ――。
私が答える前に、体がひょいと宙に浮く。
心の彩香
心の彩香
(お、お、おおおおおお姫様抱っこー!?)
顔が真っ赤になっていそうで、
思わず先生の肩に顔を埋めた。
でも、隠せば隠すほど
先生にぎゅっと抱きついてるみたいで恥ずかしい。

先生はそのまま車に私を乗せてくれた。
心の彩香
心の彩香
(……先生、運転してる横顔も素敵……)
ぽーっと先生ばかり見ていたら、
立派な外観のマンションについた。
先生の部屋は6階の角。
先生の部屋ってだけで緊張しちゃうのに、
私、この後大丈夫かな……。
黒月先生
黒月先生
……ちょっと散らかってるんですけど……
心の彩香
心の彩香
(なんか先生、ちょっと照れてる……?)
普段のクールな先生からは
想像できない焦った雰囲気は、ちょっと新鮮。

先生は紺色のソファに私を座らせてくれる。
思っていたよりも部屋の中が乱雑でびっくり。
心の彩香
心の彩香
(先生、意外とお掃除とか苦手なのかな……?)
テーブルの上には、大学の資料や数学の問題集がたくさん。
大人の彩香
大人の彩香
お家でも先生なんですね
黒月先生
黒月先生
いや、まあ。生徒のためですから。
それに楽しいんで
先生は嘘のない爽やかな顔で笑ってくれた。
すごいなあ。
いつでも生徒のことを考えてくれてる。
学校の外でも、ずっと優しいんだな。
大人の彩香
大人の彩香
ご飯とかちゃんと食べてますか?
黒月先生
黒月先生
……家事は苦手で……
先生は目線を外して少し笑った。
照れ隠しの優しい笑顔!
いつもと違う雰囲気にドキドキしちゃう~!
心の彩香
心の彩香
(……!?先生にも苦手なことあるんだ!)
私が驚いてると、先生は救急箱を持ってきて、
手際よく手当てしてくれた。
どんな時でも頼りになれるところは、
やっぱり先生ってカンジ。
そんなところが好きなんだよなぁ。
大人の彩香
大人の彩香
先生、助けてくれてありがとうございます。
何かお礼を……
黒月先生
黒月先生
大袈裟ですよ!
困っている女性を見過ごすなんて、
僕ができなかっただけですから
先生の涼し気な目元が柔らかくなる笑顔……。
キラキラ……!
はっ!今、星が見えたよ……!
まぶしすぎるッ……!
心の彩香
心の彩香
(……ダメ!
先生のキラキラオーラに負けちゃダメ!)
大人の彩香
大人の彩香
そうだ!家事!私、料理、得意なんです。
だから家政婦とかどうですか!?
黒月先生
黒月先生
いや……でも……
女神さま
女神さま
(いけいけドンドン!押せ押せドンドン!
ポケットに秘密アイテム、あげちゃうわ!)
ポケット……?
見るとカーディガンのポケットに、名刺が入っている。
かおり
かおり
香水かおりです!よろしくお願いします!
生徒も大事だけど、先生が倒れたら困るもん!
そう言って先生に名刺を渡す。
名刺には
「紹介のみでお伺いします。伝説の家政婦 香水かおみずかおり」と
書かれていた。
女神さま
女神さま
(もん!じゃないわよ。
大人っぽくって言ってるでしょ!)
あちゃ~。
でも先生は気にしてないみたい。
よかった……。
黒月先生
黒月先生
伝説、ですか……。でもやっぱり……
かおり
かおり
遠慮は不要です!先生!!次からも3回無料です!
タダですから!ね!
ここまで来たら、もう攻めるしかない!
せっかく先生とお近づきになれるチャンスなんだもん!
Go!Fight!Win!彩香!
家事を完璧にこなして、先生に愛される彼女になるんだ!

まずはお試しということで、お風呂掃除をさせてもらうことになった。
先生は足を心配してくれたけど、ここで良いとこ見せないと!!
気合いを入れて掃除を……。
かおり
かおり
きゃー!?
ところが、手元が狂ってシャワーの水を思いっきり被ってしまい、
思わず叫んでしまう。

すると……
彩香
彩香
きゃー!!!!!!高校生に戻ってるー!?!?
なんでなんでなんでー!?!?

お風呂場の鏡に映る自分は
いつも通りの高校生の姿。
彩香
彩香
ど、ど、ど……
どうしよー!!!!!
黒月先生
黒月先生
……かおりさん!?大丈夫ですか!?
ガチャ。
お風呂場のドアが開く音が聞こえる。

……私、どうなっちゃうのー!?







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