第4話

そらる
882
2019/04/23 11:04
「さ、おいで〜」

『い、嫌です!』


どうしよ、私まるで兎状態…

そりゃそうだよこの人怖い…!!めっちゃ迫るように近付いてくる。おいでって言ってんのに自分から近づいてくるんだもん!




「ほらほらーそらるさんだよ〜」

『絶対行かない!絶対行かないからな!!!』




そらるさんが寄っては一歩下がり、構えると私も構える。

何でこんな危険人物好きになってしまったんだろう…。



「お前今の状況分かってる?防音だよ?あなただよ?俺じゃん」

『え!?どゆこと?!』

「まあまあ、とりあえず俺なんもしないから」

『とりあえずって何ですか!ちゃんと断言してください!!!』



あぁぁぁぁぁっと言いながら狭い空間で逃げ回る。


「いい加減うぜえ」とボソッと呟いた言葉にビックリすると私の腕を掴んだ。




『うるさい喋んなぁぁぁぁ!』

「まだ何も言ってないけど」


何か変なことを言い出す前に行動したまで!

「そらるさんの行動は大体お見通しですから」とそっぽを向く。すると「へぇ…」と興味深そうに首を傾げる彼。



「じゃあ、今からすることも分かる訳だ」

『っ。…ど、どうせからかってくるんでしょう!』


「んー、半分正解で半分不正解」




「教えてやるよ」と頬に触れ耳に口を寄せた。

いいです!という前に彼が囁いた。



「ちょっと触れる」

『ひゃっ…』


その声はやばい!リスナー倒れるぅぅ!!鼻血案件!!

てかその前に私炎上して歌い手活動出来なくなるぅぅぅ!!!!


「い、や、で、す!」と彼を押し切りその間から抜け逃げ出す。脱出成功!!


と言っても限られた空間の中でずっと逃げ切る事は出来ないのであっさり捕まった。



『恨みとかあります?』

「…強いて言うならもっと危機感感じて欲しいかな」

『分かりました!分かりましたから!離して』


「それとこれとは別。」


何で!!
今の会話の意味ぃ…!




「…俺の事嫌いなの?」

『えぇ!?そんなわけないですよ!むしろ…』


「…」

『…』




慌てて口を抑えるがもう遅い。
そーっと彼を見るとニヤニヤしている顔。



「うん、で?むしろ何?」



…この人に恋した日に戻りたい…。絶対止めろって阻止したのになぁ…






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