ピクっとイザナが反応した
ブンっ
イザナが万次郎の頭を蹴る。
しかし、万次郎はその足を手でガードした。
佐野家の事情に私は関係ない。
それなのに私を出してくるのは、
小さい頃から佐野家で育ってきたからか、
それとも……。
,
ブンっと、またイザナが万次郎を蹴る。
しかしもう当たらないようで、万次郎はそれを容易く避けた。
「もうあたんねぇよ」と、
顔面を拳で殴ると、イザナを蹴飛ばす万次郎。
イザナは直ぐに立ち上がり、マイキーに殴り掛かるが、逆に万次郎に殴られてしまう
因縁の2人の戦いに、
周りはシンとしていて、誰も何も言わなかった
私もその1人で、ジッと2人がどう出るのか伺う
パンっとイザナが顔を叩かれる。
幻覚が見え始めてるのか…?
すると、イザナは稀咲から銃を奪い取り、
万次郎にその銃を向けた
「母さん」とこぼした言葉が見えて、
私は思わずハッとした
周りが焦る中、私はひどく冷静で
空気が揺れないくらい、静かにイザナの前に立つと、スッと銃をイザナの手から取った
スっとそれをその場に投げ捨てると、
1呼吸してイザナを見る。
涙が滲むその顔をイザナに向けると、
イザナは少し驚いていた。
私は、イザナの前で泣いたりしなかったから。
私の声は聞こえないのか、
イザナは怒ったようにして「なんでお前まで」と
口ずさむ。
すると、鶴蝶がやってきて
私の前に立った
私の言いたいことを言ってくれた鶴蝶は、
息を切らしながらイザナを見る
私もイザナの事を、涙が滲む目でしっかり見た
「うるせぇ」と叫ぶイザナ。
感がした。
ドンッ
鉛玉が私の胸を貫いた
___________NEXT
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!