バァンッッ
ドッ、と地面に尻もちを着いた。
なにが…?なんの…?は、?なんだこれ,
馬鹿みたいに間抜けな顔をしていると自覚する。
へたりこんだ足に生ぬるい何かが、液体が当たった。
手に持っていた物が床に落ちた。
は…?
呪具…?
呪力が籠った拳銃の形をしたものだった。
サーッと血の気が引く。
そうか、そうだ、さっきの「バン」は、轟くように耳に鳴り響いた「バン」は、この拳銃の音なのだ
「ごめん」「ごめんなさい」を繰り返しながら、
真っ青な顔で、震える手で横たわる悠仁を起こした。
見ればわかった。
宿儺は術式で固く封じられているし、封印の紙を手足身体に巻かれている。
バチィッ
破こうとすると手を弾かれた。
弾かれた手を呆然と見つめて、やがて奥歯を噛み締めて顔を歪めた。
私がやったんだ。
私が引き金を引いた。
どういう経緯でこうなったのか分からない。
でも、私が悠仁を打った。
呪霊を殺す。
人を殺す。
いつも死が付きまとう。
それなのに、「楽しい」なんて言うの
小さくゆっくり首を振る。
涙が落ちていく。
なんて返せばいいのか分からなかった。
なんで人は、死ぬ前にいつも「ありがとう」を残すのか
呪いをかけていくのか。
涙でグシャグシャな顔ではにかむと、
悠仁も笑ってくれた。
___________NEXT
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。