全ては、あの時から始まってたと思う。
あの日、イヌピーと別れてからの帰り道。
久しぶりの再会に、思わず顔を明るくさせてイザナの方に走りよった
目を細めて笑う。
イザナが懐かしむように私を見ると、ギュッと抱きしめてきた
ソーシャルディスタンス守ろ?国に貢献しようぜ?
「うわ、寿司語彙なつかし」と笑うイザナ。
ニコニコしていると、やがてイザナは
私の両肩を掴んで私を離した
「え、?」と思わず言葉が詰まった。
天竺…?いや、私は一応マイキーの所にいるんだけど…
思わず目を見開いた。
イザナは、小さく笑って頷いた。
だから、隠すにはもう無理だと悟った
今まで背負っていたものを
イザナは一緒に背負おうとしてくれた。
そこからは本当に、手を握るだけで答えになって
イザナが言う通りに動いてイザナが満たされるようにしていた。
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未来に戻ったときは、驚いた。
車から見える高専のみんなの姿に、
私は泣きながらイザナに感謝した
東卍は居ない。私は高専に居かなかった事になってる
ただ、みんなが生きてる。
涙を拭ってキスを落としてくるイザナ。
イザナといれば上手くいく。
私にとってはそれだけだった。
ただ、武道を打ったあの夜だけは
何となく寂しくて、心の隙間を埋めるようにイザナに縋っていたのを覚えてる。
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だから来ないでくれ。
お前がいると、また未来が変わる。
___________NEXT
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。