第49話

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2021/07/19 09:42
あなた
ほう、これがアノ金魚すくいの金魚か
松 野 千 冬
松 野 千 冬
ただの金魚だよ











千冬が取ってくれた金魚をじっと眺める。

金魚すくいの金魚って、店で売ってるやつと変わんねーんだな。













あなた
おーい








金魚「ε( ε•o•)э。゜」













あなた
ぶっは!ww
見て千冬!コイツアホだ!www
ずっと泳いでる!!ww(((
松 野 千 冬
松 野 千 冬
魚なんだから当たり前だろ!?
あなた
ひーっwwwwお腹痛いwwww











揺らしても何しても泳いでる

泳いだってなんも解決しねーのにアホだなぁ。












あなた
祭り人多いなぁ
賑やかでいいね、祭りって(笑)












シャクッとかき氷にストロー(先がスプーンみたいなを突き刺してそう言う。













松 野 千 冬
松 野 千 冬
何言ってんだよ…。
別に今日の祭りが初めてでもねーくせに
あなた
……んー、2回目。とかかな?
松 野 千 冬
松 野 千 冬
………え?2?












「うん」と頷く。












あなた
忙しかったし、万次郎の家に行く前…は、
お父様とお母様が連れて行ってくれなかった
松 野 千 冬
松 野 千 冬
…すげぇ大層な呼び方してんな
あなた
そう呼ばないといけないの。











この家柄に生まれた以上、

「差」と言うものを付けるために、







自分より強くて、親だったりするのものには

最高のリスペクトを示さなければならない。












あなた
家出…、の理由は、
あの家が息苦しかったから。
家族を家族とも思わない最悪な家で、私は忌み子みたいな扱いされてたし。
あなた
まぁ、別にもう気にしてないけど













クソみたいな家でも、

財産や、そこで培ったものは全部役に立ってる。














あなた
家のヤツらが私を言いように
利用してたんじゃない。
私がアイツらを ____ 利用してんだよ。
今までも、これからも。












,












松 野 千 冬
松 野 千 冬
…… 何泣いてんだよ















はた、はた。





落ちる涙は拭わない。

口角を上げて無理に笑顔を作る。













あなた
かき氷で、頭、いたくなった
松 野 千 冬
松 野 千 冬
……。














「はは、」と笑ってまたかき氷を食べる。














あなた
千冬ぅ…、あのさぁ…
松 野 千 冬
松 野 千 冬
…おう









ひっく、としゃくり声を上げながら言う。










あなた
私…どうしても、____ 助けたいヤツらが居て…ね。すごい、頑張っててな…ぁ…。
あなた
もう、…何回、やり直ししてんのか、
覚えてもない…んだ。それ、でさ。家の奴らは…嫌い、だけど、従兄弟…に、「棘」って
男の子がいるんだ










「名前の割にかわいいの」と笑って言う。

千冬はそれを黙って聞いていた。











あなた
すごい…優しいんだ。あんな奴が、死ぬのは…ダメ、って思うん…だっ…。
さとるも…、ゆーじも、のばらも…めぐみも、まきに、ななみ先、輩…全員____幸せになってもらいたい。









ポロポロ溢れ出る涙が、

口に入ってしょっぱくて、上手く喋れなくて、喉から何かが込み上げてくるみたい。





叫ばないと、身体がめちゃくちゃになりそうだった。











あなた
いいのかなぁ…、こんな、
祭り…来てさ、楽しんで、笑ってて…だって……アイツらは、もう…、笑えねぇのに。











ズッと鼻水をすする。

叫ぶかわりにかき氷を口に入れると、頭が痛くなる。





辞めたい、辞めたいなぁ。







過去帰る度に、同じ仲間の死を何回みたか分からない。








過去を変えなければ1回ずつで済む。











その代わりに誰も居ない。














あなた
つらいよぉっ。もう嫌だよ、どうしたらいいのかわかんない、でも ____ 諦めれなくて…









言葉を出す代わりに、

千冬は私の頬に手を添えて目の下を親指で撫でて涙を拭ってくれた。









そして一言。



























松 野 千 冬
松 野 千 冬
… 泣いたらブスになるぞ








不器用な一言は、

昔悟に言われた言葉だった。








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