第110話

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2021/08/02 13:28
千冬side





 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
化け物…?









マイキーくんがそう聞き返す。

「化け物」って、どういうことだ…?











(なまえ)
あなた
…… ( ニコッ









あなたはニコッと笑って、

「 はしたないけどゴメンね」と言って






ベッ、と赤い舌を出した。









舌に書かれた刺青。

そういや、昔嫌がっていたと場地さんから聞いたことがある













(なまえ)
あなた
呪言はね、言葉に呪いをのせるの。
例えば……
(なまえ)
あなた
'' 開 け ''










そう言うと、後ろの襖がスパンと開いた。











(なまえ)
あなた
'' 立 て ''
花 垣 武 道
花 垣 武 道
ぅうわっ!?











開けと言われれば、

その通りに襖は開き、






たけみっちに立てと言えば

たけみっちは訳も分からずにたちあがった












龍 宮 寺 堅
龍 宮 寺 堅
たけみっちチビんな
花 垣 武 道
花 垣 武 道
ご、ごめんなさ…
(なまえ)
あなた
ふふ、替えを用意させるね。











パンパンと手を叩いてそういえば、

どこからともなく人がやってきて「 ご用意します 」と言ってきた。




反応早すぎる










(なまえ)
あなた
こんな風に、言葉にした事が
現実でも起きる。
つまり…「 死ね 」と言えば、誰でも死ぬの










ゾクッと背筋が凍った。

酷く冷たい目をしたあなたがそこにいたのだ。












(なまえ)
あなた
昔は、この呪言のせいで
日紫喜家から殺されそうになったり、
色々苦労したんだよ。
(なまえ)
あなた
今でもほんとに恨んでる。
でも私の後ろには五条家の悟がいるから
日紫喜家は私に手出しできない。
(なまえ)
あなた
だから、皆私を怖がるの












無を貫く瞳が少し怖くなった。

俺の知っているあなたとは全然違う。






過去の、黒い過去を生きるあなただ。















 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
お前、良い奴だな
(なまえ)
あなた
…… え?
 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
お前、良い奴だなって。
殺されそうになっても、化け物みたいに扱われても、












,





 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
今までそれを人に向けてこなかったんだろ?












,



(なまえ)
あなた
…!












確かに、とハッとする。






「恨んでいる」と言う割には、

女中たちや家の人を見る目は、どこか申し訳なさそうだったし。












(なまえ)
あなた
… 呪術師になれば、
人を殺すことも普通になるし、
人を殺す痛みも感じなくなるって、
お父様もお母様も言ってた
(なまえ)
あなた
だから良い奴じゃないよ
私はクソだ。クソな大人に従うクソ以下の存在だよ。









ちょっと口悪くなったな











(なまえ)
あなた
ほんと…どんな地獄になるのか、楽しみだよ









諦めたようにそう言うあなた。


ひとしきり話したあと、お茶を飲んだりお菓子を食べたりしていると、









マイキーくんが急に言葉を話した











 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
眠い、寝る
三 ツ 谷 隆
三 ツ 谷 隆
おい人の家で…
 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
くーかー…
龍 宮 寺 堅
龍 宮 寺 堅
はぁ…今起こすと不機嫌なるぞ…?どうする?











,
(なまえ)
あなた
…… いいよ、布団用意させるね









薄く笑ったあなたは、

部屋から出ていった









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