第90話

🌱 88
13,736
2021/07/28 01:45
あなたside










聞こえた言葉をよく、頭で理解することが出来なかった













あなた
……えっ、…と
 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
好き、あなたが好きだ。
あなた
ちょ、ちょっと待ってよ










何度もその言葉を口されて思わず熱を感じた

心臓がザワついてて、顔がモワモワとなんだか熱くなってきて万次郎を黙らす。













あなた
冗、談…?それとも、…どういうつもり?














くしゃりと万次郎が顔を歪めた















 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
…んで、
あなた
え…?
 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
なんでだ、?
あなた
…!












万次郎の目がうるりと輝いて、

予想していなかったものが落ちた。







涙だ。













 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
好きになったのも、キスしたのも、お前のこと一番良く考えてるのも俺なのにっ。
なんで、お前はいっつも、誰も見ねぇんだよ














……誰も?、…わ、たしが…?















 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
俺の名前万次郎を呼ぶのも、お前だけで
俺はお前しか、見てこなかったのに
なんで、なんで……















,
 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
そんなマフラーに、笑ったんだよ
















万次郎の匂いと悟の匂いが交互に来て

よく分からなくなってきた。








着物が擦れる音が聞こえて、万次郎の匂いが強くなって自分が抱きしめられてることが分かった















 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
お前は俺のモンだ。他の奴には、絶対渡さねぇ。ぜんぶ俺のもんだ。……なのに、
俺はお前が好きなのに、
 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
お前は俺じゃない、誰かを選ぶのか?













選ぶとかはよく分からなかった。












そうか、そうだったのか。

私と関わる人は、いつも少しは私を大切に思ってた。










だから、心配して、話しかけてくれて、

笑わせにきたりしてくれてた。














私が、みんなを大切に思えなかった。



























あなた
ご、めん
 佐 野 万 次 郎
佐 野 万 次 郎
っ、









頭でグルグル回るのは、

高専のみんなの顔で、この人たちが大事なんだ











あなた
今は……、ごめん、万次郎。ごめんなさい、ごめんなさい。











さっきより強く私を抱きしめて、

声を押し殺して泣く万次郎。








高専での思い出が溢れる中で、万次郎の笑顔が1つ浮かんでた









___________NEXT

プリ小説オーディオドラマ