「先生、りほばっか特別扱いズルくない?」
そんな台詞を言われて、私は胸がドキッとした
"特別扱い"しているつもりはなかった
でも、自然とりほちゃんには優しくしたり、特別扱いしていたのだろう
少しだけぶっきらぼうに生徒たちに伝え、保健室から追い出す
「先生のけちー」なんて、文句を言いながら何人かの生徒は保健室を後にする
それでも出ていかない人、一名発見
ソファーに堂々と座る人
悪気なく、にっこり笑って私を見つめる
ソファーから立ち上がって、私の元にやって来て肩に触れる
ピクンと反応してしまう、自分の身体に少し憎さを覚えた
それを見逃すはずがない、りほちゃんはニヤリと妖しく笑うと私の手首を掴んでいつものベッドに向かう
"期待"
そんな言葉がよく似合う
そして、これは間違いなく
すべては
"君に限る"
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。