和也
全然咳が止まらん。
こんなに苦しそうな姿久しぶりでちょっと不安になる。
メンバー俺だけやし。
相変わらず痰の絡んだ咳をごほごほと響かせる恭平は耳も顔も真っ赤にして目には涙まで溜めてた。
大橋「苦しいなぁ…」
背中をささることくらいしかできひんくて、精いっぱいさする。
咳き込みながらぎゅって目を閉じて背中に力が入るたびに、胃液みたいなのが口の端から垂れた。
スタッフ「これ、水です!」
慌ててスタッフさんが常温の水用意してくれたんやけど、たぶん今は飲ませたらあかん気がする。
高橋「くる、しっゴホゴホゴホッ、」
大橋「恭平今水飲んだらたぶん吐いちゃうから、ゆっくり息しよ」
大丈夫、大丈夫と宥めるようにハグしてみた。
トントンと一体のリズムで背中を叩く。
恭平の喉元からは苦しそうな呼吸の音と、時折胃から迫り上がってくる音が聞こえてめちゃくちゃ苦しそう。
高橋「はぁ、ふぅ…ゲホッ、…ゴホッ」
大橋「ちょっとおさまったな、しんどかったな恭平」
前髪がおでこに張り付くくらい汗かいてて、それを袖で拭うとじんわりと熱さが伝わった。確実に熱もぶり返してんな。拗らせ確定や。
恭平「おはしくん、くちすっぱい…喉やける」
大橋「せや、あんたご飯も食べてなかったやろ?胃酸は喉やられるからな」
水を開けると震える手で持ってちょびちょび飲む。なんや言うてもまだまだ年下で甘え気質な恭平。
大橋「恭平、今日ホテル一緒に泊まるで」
さすがにこのままラジオは続けられんって判断したスタッフさんの計らいでホテルに帰らせてもらうことになった。
とりあえず近くの病院にマネージャーの車で寄って、点滴やら薬やら色々必要なものは揃えてもらった。
マネ「すぐ隣の部屋なんで、なんかあったら」
大橋「わかった、連絡する」
半分寝てる恭平を抱えながら部屋に入った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!