第28話

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2023/01/31 18:57
恭平




  


半ば意識を夢の中に飛ばしながらベッドに沈み込んだ。何がどうなってこうなったかはちょっと思い出せん。





でも目の前に大橋くんがおって、ずっと独り言喋ってんのは聞こえる。相変わらず1人でもうるさい。





大橋「えっと、まず何からする?着替え?着替えか」




子供の頃熱出たとき、体拭いてもらって着替えさせてもらってたけど、流石に大人になって人にしてもらうまで体調崩すとは思わんくて。



高橋「やる、やります…」

大橋「え?でもしんどいやろ、ええやん体洗ってる仲やねんから」

高橋「いや…」




それとこれとはなんかちゃう気がしたけどタオルを持とうと上げた手ですら鉛のようで、すぐに諦めた。



大橋「恭平ほそいなあ、ちゃんと食べてる?俺のお肉ちょっと分けてあげたい」



"なにたべたい?"

"なんかほしいもんある?"

ってずっと聞いてくれる声が心地よくて、全体重を大橋くんに預けながら心の中で返事してた。

答えるのがしんどいとか、答えたくないとかじゃなくて単純に。その優しい声とか、温かさが心地よくてこのまま眠ってしまいたくなったから。






大橋「あれ、ねた?しゃーないなぁ、ズボンは起きてからでええか」




ふわふわとした感覚でベッドにまた横たわる。先程もたれていた大橋くんからの体温がなくなると、反射的に目が開く。




高橋「まって」

大橋「あれ?起きてた?着替え途中やねんけど、」

高橋「すわる」

大橋「え?座んの?あ、咳ひどいから苦しいねんな」



軽々と抱き起こしてくれる。
安心感のある首元に手を回せばフワッとムスクのような大橋くん独特の香りが漂った。



大橋「きょうへ?」

高橋「これでいいす」

大橋「ん、ん??笑」

高橋「これが」






さっきと同じように抱きつくようにもたれて肩に顔を埋めた。暖かくて、柔らかくて心地いい。呼吸が嘘みたいに楽になって、急に眠気が襲ってくる感覚。




大橋「俺このままなん?笑 ええけど」


優しく背中も撫でてくれるから、ちょっと子供に戻った気分になってきゅっと大橋くんの服を握った。





大橋「だいじょうぶ、恭平いい子やからすぐ良くなるよ」






それ、お母さんがよく俺に言ってたやつ








と心の中で突っ込んで、少し笑みが溢れて微睡んだ。

 


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