第21話

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2022/08/13 16:19
和也








震えた声に駆け寄った。




大橋「大丈夫大丈夫、ちゃんとできてたで?な?」




う、う、と詰まらせながら泣く。


長尾「はぁっ…ぼく、……はっ、ふぅ、はぁっ」




泣きすぎてたと思ったんやけどなんかちゃうくて。


西畑「過呼吸ちゃうか」



メンバーが焦り出した。
過呼吸ってどうやってなおすん?え?わからん。


大橋「謙杜、大丈夫やから落ち着いて」

道枝「なんか袋とかいいって言いません?」

大橋「そうなん?ほんなら持ってきて」





とにかく何が何かわからんけど知ってる情報に頼るしかなくて、背中を撫でることしかできんくて。


大橋「謙杜これ、口に当てて、そう、え?これあってる?」

長尾「はぁっ、はぁっはぁ、ふぅっ、おおはし、くんっ」




ぎゅう、と服を掴む姿に心が痛くて思わず抱き締めた。




どうしたらこれが治るかわからんけど、今ここから消えてなくなりそうな謙杜を抱き締めずにはおられへんかった。





相手の心臓の音が自分の体にも響く感じがして、そのリズムで背中を叩いた。




大橋「大丈夫、大丈夫やで、謙杜今日しんどかったやん?やけど頑張ってたし、そういう日あってもいいんよ」


長尾「う…はぁっ、ひっ、はぁはぁっ…ふぅ、」


大橋「だーいじょうぶ、みんなおるやん、誰も責めてないよ」




いつの間にか泣き声だけが響いてた。

熱い体からはじっとりと汗が滲んできて、どんどんかかる体重も重くなる。



大橋「謙杜だいぶしんどいなぁ、熱高いわ」

ポンポン、と頭を撫でると首元に顔を埋めてきた。





長尾「おおはしくん、ありがとう」


掠れた鼻声で、多分俺にしか聞こえへん声で呟いた。

まだまだ子供で、やけど背負うものは人一倍背負う性格で、誰よりも真面目に真剣に向き合ってる最年少。

頼りにしてるけど、ほんまはもっと頼ってええねんでって。やってまだ甘えていい歳。それに俺らにとっては永遠に最年少。





まぁ甘えていい定義に年齢とか関係ないんやけど、


謙杜は別格。




大橋「ん、えーよ?よー頑張ったな?」

長尾「うん」



やっと顔を見れたと思ったら泣いてパンパンの目に真っ赤なほっぺたで余計赤ちゃんに見えた。


大橋「なんか謙杜のお母さんの気持ちやわぁ(笑)」



大西「ほんまおじさん何言うてんの?」






へへへ、と恥ずかしそうに笑った。


大橋「よし、謙杜おんぶしたるからおいで」









今日くらい最高潮に甘やかしてもいいやんな。




背中からは心地よさそうな寝息が聞こえてきた。




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