恭平
大橋くんのおかげでちょっとはマシになった喉。
やっぱラジオやと話すのがメインやし2人やから必然的に話す回数も多い。
はじめよりも声が枯れてきて、喉もイガイガしてきた。
ほんまにいつこの風邪治るんやろ。
大橋「恭平これ読んで」
高橋「あい、読みまぁ…
やばって思った時には遅くて。
ヒュって隙間風が気管に入った感じ。
"ゲホゲホッゴホッ!!"
追いかけてくるような咳が響き渡る。
咄嗟にマイクから遠ざかって精いっぱい袖で口元を覆う。
"ゴホゴホッゲホッ、ん゛っゲホッ…"
大橋「ちょ、一旦ストップで、恭平落ち着いてゆっくり息してみ」
しゃくるような息しか吸えへんくて、吸えばそれ以上に咳が出た。
"ゲホゲホゴホッ…ッゲホッ、ん゛っ、ぇほっ…"
やばい。
咳に釣られて吐きそうになる。必死に息吸わんように止めるけど、息切れしてるんか過呼吸気味なんかおさまるわけもなくて、
"ぐっ、ゲホッ!!!…ゴホゴホッォエッ!!"
パッと口の前にタオルが添えられた。
誰が用意してくれたとか、周りの状況すらなんもわからんけど
タオルに吐き出された痰の塊と少量の胃液が染み込んでた。
大橋「苦しかったな、しんどいな」
"ゴホゴホッ…ふぅ、ゲホッ"
落ち着く暇もなくまた咳が込み上げてくる。
心なしか口の中も気持ち悪くて吐き気までする。
なんとかおさまって欲しくて胸をさすってた手がいつの間にか握られてたことにも気づかんかった。
大橋「大丈夫、大丈夫」
高橋「…っおはし、くんっ、ゲホッ」
あれこの声聞こえる?
"ゴホッ、ゴホゴホッゲホッ…"
あかん止まらんしんどい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!