[あなた視点]
てつやさんと話すのはとても楽しかった。
実際はほとんど話したことないのに
ずっと前から知ってる人みたい。
なんでも見透かされてるようだった。
見た目で決めつける人ではなくて、
ナチュラルに煙草吸う人?とか、
お酒好きって言ってたけど何飲むの?
みたいな質問をしてくれた。
タバコ吸うよ、日本酒にハマってる。
というと大きな口を開けて笑ってくれた。
話しているとあっという間に着いてしまった。
個室があるということで話せなくなるわけ
じゃないけど今後のことも考えてバレないように
しなくちゃね、と言いながらカフェに入った。
個室に案内してもらい、どのシフォンケーキの
こと言ってたの?てつやさんはミルクティー?
とか話していると、
綺麗な女の人が注文を聞きにきた。
変な間があっててつやさんは気まずそうだった。
なんか、気になる。モヤモヤする。
店員さんが出て行くとてつやさんは、
と言った。分かってるけど、
どうしようもないってことは。
私ばかり恋愛経験がないから、
私はしたことないけどあの人とは手を繋いだり
キスをしたりしたのかな。
なんて頭をよぎってしまう。
嫌われたくなかった。美人な店員さんが
出してくれたコーヒーは今まで飲んだどの
コーヒーよりも苦かった。
苦くて甘いシフォンケーキの味は全然
分からなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。