第69話

YouTube②
909
2020/01/08 17:31
[あなた視点]

初めての生放送、どきどきする。

口元だけが見える仮面のようなものをつけて喋り出した。



あなた「はじめての生放送です、ちゃんと声聞こえるかな?」

意外と多い視聴数にどきどきしながらもコメント欄を見た。

としみつくんがツイートしてくれたみたい。

あなた「としみつくん、ツイートしてくれたんだね。」

ん?てつやもしてた?
…見てないぞ。

あなた「え?てつやくんはなんてツイートしてたの?」

カメラに映らないところでてつやさんのTwitterを見た。

[てつや:俺の推しが生放送だそうでーす!]

…待って、オレンジに染まるMVだしててつやさんが推しとか言ったら…。

あなた「…私推しなんだ〜!うれしい〜!」

慌ててまるで会ったことないような言い方をしてみたけれどコメント欄は「付き合ってたりして?」
「もしかしてオレンジ色選んだのって…。」「実はあなたがファン?」と、混じりだした。

「ねぇ、後ろの写真てつやいない?」

あなた「え!」

思わず振り返ってしまった。

うわぁ、いる。いるわ。隠し忘れてた。

確認するふりして立って写真の角度を変えた。

あなた「としみつくんとコラボした時に撮った写真だったよー!」

そういうとなるほどねーみたいなコメントであふれた。

5曲くらい歌って最後に軽く挨拶をしてギリギリ22時。

終わった5分後くらいにてつやさんがおうちに来た。

てつや「車の中で見てたよー!終わったみたいだから来た!」

写真危なかったねって笑いながらご飯を食べた。


そうすると、てつやさんがTwitterを見て笑いだした。


てつや「多分だけど、バレちゃった。笑」

あなた「え…?」

てつや「ごめん、写真の横に俺のものあったみたい。笑」


…サングラス。

罰ゲームでつけてたやつだ。



指輪とかネックレスならまだしも長い期間つけてたからバレた。

しかも写真の横にあればもはや確実だ。



あなた「もう…。言うしかないのか…。」

てつや「社長じゃなくてYouTuberとして付き合ってるって言おう。あなた顔だしてないし。」

あなた「とりあえず今回はそっとしておいてほとぼりが冷めたら考えてみる。」




ピロン、とラインがなって映し出されたのは、


[としみつ:やっちゃったね笑]
[レイ:バレてるじゃん]
[弟:なに?匂わせとかやめてや。むり。]






みんな気付いてた。

なんで私はあのサングラスに気づかなかったのか。

てつやさんがいることも、てつやさんのものがあることも当たり前になりすぎてた。


幸せなことなんだろうけど……。

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