第3話

堂上篤編(2)
228
2019/08/18 00:19
あなた
あなた
堂上二正!
堂上 篤
堂上 篤
なんだ!?
あなた
あなた
い、いえ。すごい剣幕で歩いて
いらしゃったので、
どうされたのかなと思いまして…
堂上 篤
堂上 篤
すまない。笠原が
貸し出したことでいろいろと…
あなた
あなた
また、郁ちゃんが何か?
堂上 篤
堂上 篤
いや、それはいつもの事だから、
そうだったとしても俺が何とかする。
問題はこれだ。
そう言って、堂上二正は私に
週刊新世相の今週号を渡した。
そこに書かれていた、情報には
図書館員が貸し出し手続きをした
利用者が貸し出した本を参考・・に、
殺人事件を起こしたと書いてあった。
堂上 篤
堂上 篤
それで、本を貸し出した
図書館の責任ではと騒がれていてな。
その対応に忙しくて、すまない。
あなた
あなた
いえ、いいんです。
私も何か手伝うことはないですか?
堂上 篤
堂上 篤
ああ、お前に迷惑はかけられん。
あなた
あなた
いいんです。
気にしないでください。
というか、そんな騒ぎがあるなんて
知りませんでした。
堂上 篤
堂上 篤
それは、柴崎がお前には
なるべく言わないようにと。
あなた
あなた
なんでですか?
堂上 篤
堂上 篤
事態をなんとかしようと
追い込まれそうだから、だそうだ。
あなた
あなた
ああ、そうでしたか。( ・∇・)
でも、普通に言われましたよね。
堂上 篤
堂上 篤
ああ、いや、お前に聞かれてつい…
あなた
あなた
堂上二正って素直ですよね。(*´ω`*)
堂上 篤
堂上 篤
そうか?
俺は嘘もつくぞ。
あなた
あなた
そういうことじゃなくて。
…まあ、いいです。
お手伝いします。
堂上 篤
堂上 篤
すまない。助かる。
ただ、無理だけはするなよ。
あなた
あなた
はい、もちろんです!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あなた
あなた
もしもし、武蔵野第一図書館の
神咲 あなたです。…はい。
その件に関しましては…………はい、
ご理解頂き、ありがとうございます。
それでは失礼致します。
柴崎 麻子
柴崎 麻子
もう、言っちゃったんですか?
堂上 篤
堂上 篤
面目ない。
柴崎 麻子
柴崎 麻子
別にいいですけど。
堂上 篤
堂上 篤
その、嘘をつく訳にも…
柴崎 麻子
柴崎 麻子
はいはい。分かってます。
あなた
あなた
なんなんですか!?
貸し出した人間が悪いって!
まるで全部郁ちゃんが悪いみたい!
柴崎 麻子
柴崎 麻子
まあまあ。あなた、
落ち着いて。
あなた
あなた
落ち着いてなんていられないよ!
だって、郁ちゃんはあくまで
利用者の知る権利を守っただけ!
なのに、なんで悪役にされなきゃ
いけないのよ!?
堂上 篤
堂上 篤
落ち着け。あなた。
それを説明しなかったら、
笠原は悪役やのままだ。
お前は勘違いした利用者に
笠原の無実を証明してやるんだ。
あなた
あなた
…はい。
柴崎 麻子
柴崎 麻子
まあ、今回の件はどう考えても
笠原が悪いわけじゃないわ。
ただ、犯人を攻めるだけじゃ
気がすまなくて攻める
相手が欲しいだけなのよ。
笠原 郁
笠原 郁
あなた、ありがとう。
私のためにそんなに怒ってくれて。
あなた
あなた
郁ちゃん。聞いてたの?
笠原 郁
笠原 郁
うん。
ホントにありがとう。
あなた
あなた
いいよ。
大好きな郁ちゃんのためだもん。
この事件は、玄田三監の
ご友人、折口 マキさんが新世相の記事に
「貸し出した人間が犯罪を犯すなど
誰が想像できるのか。その図書館員は
利用者の知る権利を守った、
自分のやるべき事を全うしただけだ。」
と記してくださったため、
幕を閉じていった。
新世相の記事に始まり、
新世相の記事に終わるってなんだか複雑。

でも、この事件のおかげて私と堂上二正は
その後、郁ちゃん以外のことで
話すようになりました!
まあ、仕事のことだけですが。

プリ小説オーディオドラマ