あなたと飛曜が遊郭に来て2日目
ぐったりと座り込むあなた
心配性な少女、飛曜が顔を覗き込んでくる
ふわりと微笑むが
無理をしているのが丸わかりである
昨日、花緒美花魁の禿に認めて貰ったものの
彼女の稽古はきつく、半日でこの有様である
普通、禿になるには幼い頃から稽古を積んで、振袖新造に上がるのだが
あなたは15で禿になったので、早く芸事を教えるために
あえて厳しく接しているのだ
ただ、それを知らないあなたは、そんな愚痴をこぼす
※手練手管とは
主さん(客)と接する上での仕草のこと。
より艶めかしく色っぽい手練手管ができる
ほど、人気が出る。
と、部屋を出ようとしたところ
ふいと窓の外を向く花緒美花魁だが
「しっかり自信を持ちな!」
と言う、励ましの言葉であった
──────とは言ったものの
広い遊郭の中、迷子になってしまった
振り向くと声の主はうらた花魁だった
と、顔を出したのは
──────
そんなことは無いです
そう言おうと顔を上げた──────
──────
そう言ってあらきはあなたの顔を覗き込んでくる
恋──────
そんなものに慣れないあなたは
ただ顔を赤らめ、大丈夫です、と答えるしか無かった
遊郭の恋が身を焦がすとも知らずに──────
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。