ぎこちなくエスコートをする海司の顔は
いつになく真剣で、かっこよかった。
海司side
ダンス終了後、あなたさんは次の人の所へ向かった。
1人になってから、ダンス中の事を思い出した。
って、おい。
無意識に自分から出た言葉に驚いた。
再び1人になり、静まり返ったその時
アナウンスが入った。
そう、結果発表だ。
急いでステージの方へ向かい袖で胸を押さえながら結果を聞いた。
3位が尊人さん
2位が、まさかの朱雀奏。
会場中や来賓の方々がざわめき出した。
竜に背中を押され勢いでステージに上がると客席全員が
立ち上がり俺とあなたさんに向けて拍手をしていた。
可愛い微笑みを向けられつい抱きしめてしまった。
ゆっくりと幕が降りてステージのライトは真ん中だけが
ぼんやりと俺らを照らしていた。
いつのまにか皆んなも居なくなり静まり返っていた。
でも、この静けさは何故か愛おしかった。
互いの方に頭を乗せて耳元で響く優しい声は
俺を溶かして行った。
黙り込んでしまった。
やっべ、やっちゃった。
ばあちゃん、こーゆーときどーすんだよ。
ばっと体を離し顔を見つめた。
すると恥ずかしそうにあなたさんは口を開いた。
再びぎゅっと抱きしめた。
これからの学校が何百倍も楽しくなるな。
END
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!