まさかの今日のトリを飾るのは俺だった。
こいつ、なんもわかってねぇな。
めっちゃ綺麗なあなたの姿が俺の視界を埋め尽くした。
まさかのウェディングドレスってやつ?
や、なんか真っ白でふわっとしてて…
通りで俺の衣装だけ装飾が違ったってわけか?
いや、もう、わかんねえええ。
やべえ、緊張してきた。
俺が腰に手回すときゅっと背筋を伸ばすあなた。
緊張してんのは俺だけどな。
ダンスが終わると崩れるように緊張が解けた。
舞台袖では俺らに対しての拍手があった。
結果発表の最中袖を引っ張りあなたは俺を見上げた。
まあ、もちろん三位、二位は兄貴と朱雀奏、
にしても、二位に奏が居るとはなあ。
ドラムロールが鳴るとあなたの手のひらに指輪が現れた。
もちろん観客席は湧きまくり。
すっと俺の指にハマる指輪を見ていると
感極まり思わず抱き寄せてしまった。
ステージのカーテンが閉まるとステージの上から
私と竜以外誰も居なくなった。
通り過ぎて行くあなたの手を掴んだ。
飛びつくあなたの背中に手を回すと
一瞬で全身の力が抜けた。
あなたの首に手を掛け引き寄せて唇を重ねた。
そう言って俺にキスをくれた。
END
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!