第3話

嘘にまみれた。
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2019/10/20 13:05
外は、人が溢れてる。ここは田舎だからあんまり沢山はいないけど、教室よりも沢山の人がいる。きっと皆、私の存在を鬱陶しく思ってる。私じゃなくても、みんな誰かを嫌ってて、自分のことしか考えてない。
人は、みんな自分が好きだから。誰かが悩んでても、死んでも、どうでもいいって本当は思ってる。
だって、ニュースでよく、人が亡くなったって流れるけど、数時間後には曖昧な記憶しか残ってないんだもの。私だってそうだし、きっとみんなそう。結局、自分に関わりがない人のことなんて、みんなどうでもいいんだよ。だけど、皆ネットの中では、自分と関わりがない人のことでも、沢山悪いことを言う。ネットサーフィンをしていていつも見ていた。
呉羽
呉羽
そんなもの。人なんて、みんな嘘つき。みんな汚い。みんな、嫌い。
私は、人間なんかみんな消えちゃえばいいのにって思った。そうしたら、世界は綺麗になるのにな、って。私が自殺してもいい。そうしたら、きっとみんな幸せになって、世界は綺麗になるかもしれない。
そうだ、私がいなければ、世界は、少なくとも私の周りは綺麗で溢れるかもしれない。
呉羽
呉羽
でも。私があいつらの為に死んじゃうのは、やだな。
そうだ、なんで私が死ななければいけないんだ?悪いのはみんななのに。私が死ぬことないじゃないか。
考えが二転三転したまま、水筒を出すために、階段をおりて下へ行った。閉まった扉の向こうから、琴音の泣く声が聞こえた。
呉羽
呉羽
(なんで泣いてるんだろう。)
私は、人間のように扱われていない割に、人並みの感情はあった。と、思う。
琴音(一人目の妹)
だって!光ちゃんが琴音のおもちゃ取ったんだもん!
幼稚園か。琴音の行く幼稚園には、光ちゃん、という気の強い女の子がいたらしい。また今日もおもちゃを取られたのか。
お母さん。
そう・・・。大丈夫、お母さんって言うのはね。子供が苦しんでたら分かるものなのよ。だから、琴音が嫌なことがあったら、お母さんすぐ分かるからね。琴音はお母さんが守ってあげるからね。
呉羽
呉羽
(・・・は?)
カンッ──と、何かが頭に当たったような衝撃を受けた。
ちょっと待ってよ。子供が苦しんでたら分かる、って?
呉羽
呉羽
(私が虐められてることには、気づかないくせに。)
溢れそうになった涙をふいて、水筒を持ったまま二階に駆けのぼった。あれ以上あそこにいたら、本当に私は壊れてしまう。心の中に、重たい石と冷たい雨が同時に降ってくるみたいだった。お腹が、頭が、痛い。重い。心が、抉り取られるようだった。
呉羽
呉羽
友達?すぐ裏切る脆い存在。家族?同じ家族の癖に、贔屓ばっかりする糞みたいな存在。人間なんて、汚くて我儘で気持ち悪い。
やっぱり人類なんて滅ぶべきだ。そんな汚い人で溢れてるから、世界で戦争が絶えないんだ。死んでいく人の数が減らないんだ。
人のせい。誰かのせい。自分のことしか考えられない人のせい。
あぁ、汚い、汚い、汚い、汚い。死んでしまえ。みんな、みんな、みんな、みんな、みんな!!!
ベッドの上で寝転がって、人を恨んだ。恨みながら泣いた。
そして、いつの間にか眠っていた。何時もより、暗くて悲しい夢を見た。夢なんて、いつぶりかな。

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