第17話

大人たちだって。
157
2019/11/24 10:36
その日の放課後、玄関へ行くために階段を下りていた私の隣に桃瀬がやってきた。桃瀬の後ろには、今日の昼休みのあの人たちもいた。
クラスメイト
あ、呉羽ちゃんだー。
クラスメイト
仲良くしてあげるって、桃瀬ちゃんやさしいよねー!
クラスメイト
呉羽ちゃん、感謝した方がいいよ。
呉羽
呉羽
いや、違くて、私は・・・!
クラスメイト
もー、言い訳とかいいって!
クラスメイト
そうそう、てか、桃瀬ちゃんが許してるなら私たちも別にどうでもいいんだよね。
呉羽
呉羽
え・・・?
桃瀬
桃瀬
あっ、そうだー、ねぇねぇ。
クラスメイト
別に呉羽ちゃんのこと嫌いって訳じゃないし。
嘘、あの時はあんな目で見てたのに。まるでゴミを見るように。死ねって言ってるように。人はすぐ、嘘をつく。
呉羽
呉羽
そう、なの?
だけど私は、その嘘を信じてしまう。心が、弱いから。
桃瀬
桃瀬
あのさー。
呉羽
呉羽
あ、何?
一度だけ、桃瀬の言葉を聞かなかったふりをしたけれど、桃瀬を後に回してしまったら、昼休みと同じようになる。そう思って、本当なら優先したいクラスメイトたちとの会話を無理やり終えて、桃瀬の方を向いた。
呉羽
呉羽
・・・えっ。
何も、してないのに。



私は、桃瀬に叩かれた。
クラスメイトたちは、半分が驚いた顔をしていて、残りの半分は笑っていた。笑っていたのは、グループ内でも強い力を持つ権力者たち。きっと桃瀬が、嘘をついたんだ。そしてそれを信じて、私を嵌めたんだ。
私の脳内が瞬時にそこまで考えを巡らせた。
呉羽
呉羽
なん、で。
そう聞く私の声は震えていた。お父さんに叩かれた時も、声が震えて涙が止まらなくなる。それと同じように、涙が止まらなかった。折角我慢してきたのに。
桃瀬
桃瀬
もう、いい。
桃瀬も私と同じように涙を流しながら、階段を駆け下りて行った。桃瀬が泣く理由なんて、ないはずなのに。
桃瀬
桃瀬
あっ!先生・・・!聞いてくださいっ、呉羽ちゃんがっ。
下から、桃瀬の泣く声が聞こえる。先生に向かって、何か講義の声を上げている。それと同時に、先生のどこか困ったような声が聞こえる。
先生。
呉羽さん、少し、時間いいかな。
私が下へ行くと、先生が私を見て言った。なんだか、警察に捕まった人みたいだと思った。
きっと今回も、私が何を言っても通じないんだろうな。

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