辰哉side
↑※本当にそうかは知りません。
頭の中がこんがらがっている。
あなたは元々心臓病という病気があるのに、それに加えて
肺がんだなんて言われて、さらには余命1年?フルートをやめろ?
俺らがそんなこと言われて辛いのはあたりまえだが、
俺らよりもちろんあなたの方が辛いに決まっている。
肺がんや余命1年はビックリすると思うが、
それより、フルートが大好きなのにやめろなんて言われたら
あなたの心が壊れてしまうかもしれない...
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病室 大介side
あなたはまだ目を覚まさない。
病室にいる俺らは黙ったまんま、さっきと同じように
気まずい空気になった。
俺はあなたの手をぎゅっと握った。
怖かったから、目の前にあなたがいるのに、
死ぬ直前でもないのに、あなたがどこかへ行ってしまうような気がして。
ガラッ
あなたのことについて話を聞いてきた4人が帰ってきた
しばらくすると、あなたが俺の手を握った。
あなたがゆっくり目を開けた
酸素マスクをしているせいか、喋りづらくなっているも、
なんとか喋ろうと、頑張って口を開いた
あなたは涙目になっていた
そりゃそうだ。死ぬかもしれないし、
大好きなこともやめなきゃいけないなんて...
中学生のあなたは思春期とかで心を作っている途中なのに
たえられないよなぁ...
そんなことを考えながらあなたを見ていると
俺も涙が出そうになった
病室を出たあと、しばらくもしないうちに
あなたの泣き声が聞こえてきた
それを聞いてとうとう俺も泣いてしまった。
それに気づいて、涼太がハグしてくれた
本当はあなたの方が辛いはずなのになぁ
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!