第17話

17
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2021/09/10 13:02
作者
作者
17話を読む前に作者から。
作者
作者
すみません、奏真の語彙力が無さすぎて、ストーリーがぐちゃぐちゃになってますね。ここらで1回今までのストーリーを軽くまとめてみます。
琉華=ノワールの人間時代。
①琉華と晴人が付き合う
②琉華が交通事故で亡くなる。
③琉華が人間の頃の記憶を失い、ノワールとして転生(?)する。
④ノワールとブラッドが出会う。
⑤ノワールがブラッドに恋に落ちる。(本人無自覚)
⑥ブラッドがノワールに恋に落ちる。(本人自覚有)
⑦ノワールが人間の頃の記憶を思い出す。
⑧ノワールがブラッドへの恋心を自覚する。
人間の頃は晴人のことが好きだったけど、死神になり、記憶を失った状態でブラッドを好きになってしまった。

よって、記憶を取り戻した時に、「俺は一体誰のことが好きなんだ…?」ってなってるって感じです。

ブラッドのことが好きだけど、晴人を見捨てたくない……っていう感情。



そして、あの薬について。

あれは死神にとって猛毒であり、あれを摂取した者に近づくと死神は灰になって命を失います。

晴人にそれを飲ませることによって、ノワールの処刑後に他の死神が晴人の命を狙ったとしても晴人の命が守れるという感じ。
作者
作者
少しは…分かりやすくなったと信じたい…。
皆さんの理解力に頼りまくりですが、今話もよろしくお願いします。












ブラッド視点。

勝手に口走った言葉。


何を言ったのか自分でも分からない。
ただ、ぐちゃぐちゃになった考えをひたすらぶちまけた。
涙でグチャグチャに歪んだ視界の中でノワールをとらえる。
表情が、見えない。

ノワール
ノワール
……俺、は……
ブラッド
ブラッド
もうッ…やだッ!聞きたくないッ…!!
ガンッと立ち上がり、部屋を飛び出した。
分かってるッ…分かってる。

「俺はお前のことが好きじゃない」

そう言いたかったんだろ?

分かってる。分かってるよッ…。

俺らはただの「吸血鬼」と「死神」という関係。

俺にとって特別な存在でも、ノワールからしたらただの吸血鬼にすぎない。
なぁ。おしえてよ、ノワールッ…。


なんで、なんでッ…あの日キスしたの…?
俺の事、好きでもないくせにッ………、









ブラッド
ブラッド
はぁッ…はぁッ……
随分走ってしまった。

気がつくと目の前には昔ノワールが住みついていたビルがあった。
ブラッド
ブラッド
ははッ…、懐かしッ…、
ここで…あいつと出会って……ここで、好きになったんだ。
中に入って少し歩くと、地面にしゃがみこむ。
コンクリートには、大量の字列が書き込まれていた。

ノワールが、地球に行く際に書いたものだろう。

数え切れない…。これだけの数、地球に行って、人の魂を狩ってきたんだ。
そんなアイツが「大切なんだ」と、「殺せない」と言ってんだ…。それだけ大切な人なんだろう。
俺がノワールを思うように、ノワールもその人のことを思っているんだ。

ダメだ。自分のエゴを押し付けちゃ…。
ノワールが自分で決めたことなんだから、俺が惑わしちゃいけない…。
ブラッド
ブラッド
うっ…うぅッ…ぅ"っ…グスッ…
こんなツラい思いするなら…出逢わない方が幸せだったな…。









翌日。
ブラッド
ブラッド
ッ…ん…
パチッと目を覚ます。

ゆっくり体を起こすと、ズキズキと体のあちこちが痛んだ。
そっか、俺…あのまま寝ちゃったんだ…。
ブラッド
ブラッド
ッ…!ノワール、はッ!?
ノワールの処刑日はいつだッ…。

今日じゃないよな…、大丈夫、だよね?
俺は起き上がり、外を確認する。


良かったッ…雨だ。


俺は走ってビルから出ると、自分の家まで移動した。



まぁ当然だが…ノワールの姿はなかった。
もう帰ってしまったんだろう。
テーブルの上に、1枚の紙が置かれていた。
『ごめん。ありがとう。』
ブラッド
ブラッド
意味…わかんねぇ…、
意味わかんないよッ…ノワール…。








ノワール視点。


瓦礫を踏んずけて、ビルに入る。
ブラッドが部屋を飛び出したあの後、しばらくブラッドが帰ってくるのを待った。

ちゃんと伝えようと思ったからだ。全部。…全部。


でも、アイツは帰ってこなかった。もしかしたら、なんて思って俺のこのビルに戻ったが、ハズレだった。
そりゃそうか…嫌われただろうな…。
あまりに自分勝手すぎる自分の行動に自分でも呆れてしまう。


でも、こんな思いとも今日でお別れだ。
明日は俺の処刑日。明日、俺は死ぬんだ。
何となく視界に入った、資料を手に取る。

昔、研究所から盗みとったものだ。
死神の研究データ…。


ペラペラとめくっていると、ある1ページで視線が止まった。

『○月✕日…死神の処刑。』

『先日、規則を破った死神の処刑が実行された。どうやら十字架にかけられて杭で刺された後、意識がある状態で火で炙られたようだ。残った骨の痕跡から_』


ノワール
ノワール
………
残虐だな…。俺もこうして殺されるのか。
杭で刺された後に火で炙られる…。
想像しただけで吐き気がする。
資料をビリビリに破り、床に投げ棄てる。
…あんな最低な奴らに殺されるくらいならッ…、



俺は地面に転がっていた鎌を持ち上げる。
ノワール
ノワール
ッ………
ははッ…怖ぇや…。


でも俺は…何人もの人間を殺してきた。
何人もの人間を痛みつけてきた。

これは罰だ。
死んでも償えない、最低で最悪な俺への罰…。
ノワール
ノワール
ははッ……晴人のこと…殺さなくてよかった…、
こんな怖い思い…させられねぇよ…。
ごめん、晴人…約束、破っちまう…。

もう会えないけど…どうか幸せに生きてくれ。







ありがとう、ブラッド…。

お前のおかげで俺は…、
ノワール
ノワール
幸せ、だった…




───────さよなら。











ブラッド視点。
ブラッド
ブラッド
ッ…!!!
酷く寒気がした。


なんだ、なんだ…この、変な感じッ…
何か、嫌な予感がする。
何だか不安になり、俺は走って家を出た。
雨が強く、ビルに着く頃には頭から足先までびしょ濡れだった。
ブラッド
ブラッド
ッ…ノワールッ…
はぁッ…はぁッ…、と息切れしながらビルに入る。

昔のビルではない。最近住み替えた方のビルだ。

ここに、ノワールがいるはず。いるはず、なんだ。










ガタッと膝から崩れ落ち、後ずさる。
体はがたがたと震え、瞳からボロボロと涙が溢れてきた。
目の前には、胸が鎌によって貫かれた黒髪の男が血まみれで横たわっていた。
ブラッド
ブラッド
ぁッ…、あっ…ち、がッ…
ちがうッ…、違う、違う、違う違う違うッ…違うッ…
これはノワールじゃないッ…違うんだ。ノワールなんかじゃッ…ないッ…。
ブラッド
ブラッド
な、ぁッ…ちがう…だ、ろッ…?な、ぁッ…、
震える手で必死に男の体を抱え、揺さぶる。
男は完全に脱力していて、俺の言葉にピクリとも動かない。

優しく手に触れると、生き物とは思えない程冷たかった。
ブラッド
ブラッド
だれ、かッ…、誰かッ…、助けてッ…、おね、がッ…
ザレオス
ザレオス
…うっせぇな。ごちゃごちゃ騒いでんじゃねぇ。
ブラッド
ブラッド
ッ…!?
突然の声にバッと振り返ると、そこには背中に悪魔の翼が生えた男が立っていた。
ザレオス
ザレオス
あーあ。こりゃ…随分地味に死にやがって…。
ブラッド
ブラッド
だ、誰ッ…、ですか…、
ザレオス
ザレオス
お前こそ誰だ。
ガッと頬を掴まれ、強引に目を合わせられる。


痛いッ…、
ザレオス
ザレオス
死神…じゃねぇな。吸血鬼か。
ブラッド
ブラッド
ふッ…ぅ"ッ…うっ…
ザレオス
ザレオス
まぁいいや。どいてくんね?ソイツ、処理しなきゃなんねぇんだわ。
ブラッド
ブラッド
な、なん、でッ…いやだっ…まってッ…
ザレオス
ザレオス
…はぁ?てめぇ頭おかしいのか。
その死体、どうする気だ。
ブラッド
ブラッド
死体ッ…?違うッ…まだ、まだ生きてッ…!
ザレオス
ザレオス
生きてねぇよ。命の匂いがしねぇ。そのままじゃ腐っていくだけだ。それよこせ。
男は俺が抱えていた人を脇に抱え込む。
ザレオス
ザレオス
ッ…たく、勝手に死にやがって…。
怒られんの俺なんだけど…。
ブラッド
ブラッド
ど、どうする、気…だよ。
ザレオス
ザレオス
あ?こいつ?…火にかける。
ブラッド
ブラッド
ッ…火、に…?
ザレオス
ザレオス
あぁ。安心しろ。俺はあんな奴らとは違ぇ。優しく火にかけてやるから。
カタカタと震え、泣き続ける俺に違和感を覚えたのか、男は眉を寄せて聞いてくる。
ザレオス
ザレオス
お前、何?こいつとどういう関係?
ブラッド
ブラッド
…………、き……だ、た。
ザレオス
ザレオス
…なんて?
ブラッド
ブラッド
好き、だったんだ…。ずっとッ…ずっとッ……
ザレオス
ザレオス
…、そうか。
男は少し悲しそうな顔をしたあと、俺の頭に手を置いた。
そしてポケットから何かを取りだす。
ザレオス
ザレオス
これ、やる。
ブラッド
ブラッド
…なに、これ。
ザレオス
ザレオス
幸せになれる薬。飲んで、寝ろ。
少し落ち着くはずだ。
優しく頭を撫でられる。
ザレオス
ザレオス
(…本当はただの水だけど…。
これで少し落ち着くなら…、)
ブラッド
ブラッド
むりッ…だよ、もうッ…無理なんだ…。
ザレオス
ザレオス
…それがお前が考えた先の答えならいいと思う。
じゃあ。俺は行く。……じゃあな。
男はそういうと、ゆっくりと姿を消して行った。
俺は静かに消えていく2人の姿を黙って見つめることしかできなかった。











気づけば家にいた。

家のベッドに横になっていた。

重たい体を持ち上げ、起き上がる。

心が空っぽになり、生きている心地がしなかった。

何も考えられない…。
ブラッド
ブラッド
ッ…ノワールッ……、
もう、会えない…。


もう……この世界には…いないんだ。
いくら名前を呼んでも、会いたくても、
もう会うことは出来ない。
ボスンッ…と再びベッドに倒れ込む。

目を閉じると、ふわりと意識が飛んだ。






夢を見た。

とても幸せな夢だった。

そこにはノワールがいて…優しく抱きしめてくれた。

ノワールの目にはちゃんと俺が映っていてッ…俺の事を愛してくれていた。

ノワール
ノワール
なに、泣いてんだよ。…ブラッド。
ブラッド
ブラッド
ッ…ぅっ…ノワールッ…ノワールッ…ぅッ…!
ノワール
ノワール
うおッ…なんだなんだ。どうした。
ブラッド
ブラッド
好きだッ…大好きなんだッ…お前がッ…ノワールのことがッ…!
ノワール
ノワール
俺も大好きだよ。…ブラッド。
ボロボロと泣き叫ぶ俺の体を優しく抱きしめ、
ノワールがそういう。
暖かかった。
ドクンッ…ドクンッ…とノワールの心臓の音が聞こえた。
夢だってことくらい分かってる。




だからせめて…夢でくらい俺を愛してください…。
俺はノワールの腕の中で、ゆっくりと瞳を閉じた。





もし…もしお前が人間から死神になったように、またいつか生まれ変われたら、その時はまた──────────、







ノワール、ブラッド編 END.

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