第14話

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2021/08/13 06:08
晴人視点。
「琉華が、死んだ」

そう聞かされたのは今から数年前の出来事だった。
電話で医者からそう告げられた。
車にはねられたらしい。
俺は過呼吸になりかけながら病院へ走った。
でも…病院でもまた衝撃的なことが伝えられた。
「遺体が、無い。消えた。」
意味が分からなかった。病院に運ばれたんじゃないのか?
何故目を離した?何故もっと慎重に扱わなかった?

病院の人を責めたって意味は無いことくらい分かっていた。
それでも責めずにはいられなかった。
泣きながら、何度も訴えていた。
「俺の琉華を返して」って。
「琉華は本当に死んだのか」って。
辛い現実を受け入れられずにいた。
それから数日経っても、琉華の遺体は見つかることは無かった。
俺は、未だに琉華の死を受け入れられずいた。

周りに何を言われても、琉華は死んでいない、どこかで生きている。と主張し続けた。





それから数年。
やっぱり琉華の遺体が見つかることは無かった。
どんなに探しても、願っても…琉華が俺の前に姿を現すことはなかった。
もう…琉華死んだことを認めざるを得なかった。


いつも…隣にいて、辛い時にはいっぱい抱きしめてくれた琉華はもういない。
ただただ苦しかった。寂しかった。

琉華のことを思えば思うほど息が苦しくなり、生きていくことが苦痛になった。
そんな中、行なったのが自傷行為だった。
自傷行為を行う度、自然と一時的に精神状態が安定した。
本当は、すぐにやめるつもりだった。
痛いのは、嫌いだから。
でも気がついたらやめられなくなっていた。

日に日に手首の傷は増えていって、隠すのが難しいほどに手首が傷だらけになっていた。
傷はどんどん深くなっていき、本当に痛かった。

それでもやめられなかった。やめたら本当に壊れてしまう。
そう思ったからだった。



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俺はそう話すと、少し冷めてしまったココアを見つめた。
ノワール
ノワール
…そう、だったんだ。
晴人
晴人
…うんッ…だから、おれッ…琉華がッ………琉華が帰ってきてくれたとき、本当にッ…本当に嬉しくてッ…
喉の奥が震え、ボロボロと涙が溢れ出た。
琉華はグッ…と俺の腕を引っ張り、自分の方に引き寄せると、強く、強く抱きしめてくれた。
晴人
晴人
ぅッ…あッ…る、かッ…るかッ…ぁ"ッ……
ノワール
ノワール
ごめんッ…晴人…、いっぱい辛い思いさせた…、
今まで1人で抱え込んで来たものが全て溢れ出し、俺は琉華の腕の中で泣き続けた。

晴人
晴人
もうッ…どこも、行かないでッ…、お願いッ…、おねがい、だからッ……
ノワール
ノワール
ッ……、
晴人
晴人
もうやだよッ…、グスッ…もう離れたくないッ…、
ギュウッ…と細い体に腕をまわし、強く抱きしめる。


怖かった。


今の琉華は目を離したらすぐに消えてしまいそうな気がした。
子供のように泣きじゃくる俺の頭をひたすらに撫で続ける琉華の表情はどこか寂しそうな顔をしていた。




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ノワール(琉華)視点。
晴人
晴人
スー……スー……
晴人は泣き疲れたのか、しばらく経ったら俺の腕の中で眠ってしまった。
俺は晴人の左腕に手を伸ばし、袖を少しまくった。
…ひでぇ傷…。
俺が…この傷を作らせてしまったんだ…。
俺はポケットから常備していた包帯を取りだし、優しく晴人の手首にまきつけた。
ノワール
ノワール
晴人ッ……
晴人
晴人
……スー…スー……
俺はそっと立ち上がり、晴人をベッドに寝かせると、電気を消して家を出た。
俺は、ここにいちゃいけない。
これ以上ここにいたら、本当に離れられなくなる…。


俺も、晴人も…。
……そろそろ…決めなくちゃだな……。



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人間界から戻り、
目が覚めると古びたビルの上に1人佇んでいた。
ノワール
ノワール
……はぁ…。
愛用の鎌を壁に立てかけ、ベッドに座り込んだ。
これから…どうするか。
その時、コンコンッ…と控え目に扉がノックされた。
ノワール
ノワール
ッ……誰だ。
………
相手は無言で部屋に入り込んできた。

黒髪の高身長な男だった。
お前がノワールか…。
ノワール
ノワール
………あぁ。そうだ。…お前は、誰だ。
ザレオス
ザレオス
……ザレオスだ。
ノワール
ノワール
…は…?ザレオス…って…、
ザレオス…死神と悪魔のハーフ。

死神界では誰もが知る有名な名だ。

そしてこの世界では、複数の種族を持って生まれることは珍しく、ほぼありえないとされている。

そんな奴が…俺に何の用だ…?
ザレオス
ザレオス
…今は俺の事なんかどうでもいい。そんなことよりお前、上の命令に背いているようだな。
ノワール
ノワール
……人間とのことか。
人間とのこと…というか、晴人との事で間違いないだろう。
ザレオス
ザレオス
あぁ。お前のとこのお偉いさんも随分とお怒りのご様子だぞ。
ノワール
ノワール
……へぇ…。
ザレオス
ザレオス
…何故あの人間の魂を狩らない?お前は何を考えているんだ。お前も死神なら分かっているだろう?上の命令に背いた者はッ…
ノワール
ノワール
うるせぇ。
ザレオス
ザレオス
ッ……
ノワール
ノワール
俺は、アイツを殺すつもりはない。俺の命がどうなろうが、アイツだけは守る。そう決めたんだ。
これが…俺の出した答えだった。

俺には晴人を殺すことはできない。

それに……もう晴人を苦しませたくないんだ…。
ザレオス
ザレオス
…かっこいいな。……でも残念。守り抜くことなんて無理だ。
ノワール
ノワール
…なんでそんなこと言い切れる。
ザレオス
ザレオス
例えお前が今回の任務を放棄し、あの人間を守り抜いたとしても…近いうちにほかの死神があの人間を殺す。
ノワール
ノワール
……………それでも…俺が、なんとかする。
ザレオス
ザレオス
どうするつもりだ?
あと1週間という限られた時間で。
ノワール
ノワール
……分からない。でも、絶対守り抜く。あいつだけは、死なせない。
俺がはっきりと言い張ると、ザレオスさんはでかいため息を吐いた。

チラッ…とザレオスさんの表情を見ると、その顔には笑みが張り付いていた。
ザレオス
ザレオス
ふッ…そうか。
お前みたいな奴は嫌いじゃない。
ノワール
ノワール
…は?
ザレオスさんはそう言うと、ポケットから袋に包まれた何かを俺に手渡してきた。
ザレオス
ザレオス
受け取れ。
ノワール
ノワール
なんだ…これ。
ザレオス
ザレオス
…俺が今作っている薬の試作品だ。死神の体には酷い猛毒になるから絶対開けるなよ。
ノワール
ノワール
…これ、どうすればいいんだ。
ザレオス
ザレオス
…お前が命懸けて守ろうとしてる人間に渡せ。
ノワール
ノワール
ッ…晴人、に…?
ザレオス
ザレオス
あぁ。これはお前が役目を果たしたあと、絶対に人間を守るはずだ。
ノワール
ノワール
ッ……ありがとう、ございます…。
ザレオスさんは小さく笑みを浮かべると、扉の方に向かっていった。
ノワール
ノワール
ッ…これを渡すために…わざわざ来てくれたのか?
ザレオス
ザレオス
いや?そもそも渡す気はなかった。どうせ半端な覚悟だろうと思ってたからな。…でも、お前が本気の目をしてたから渡したくなった。それだけだ。……じゃあな。成功させろよ。
ザレオスさんは部屋を出て行った。



ノワール
ノワール
ッ……
……もう後戻り出来ない。
このまま晴人を殺さずに任務を放棄すれば、
俺の命は消されるだろう。
それでも…守りたかった。
残された1週間…。俺の人生のタイムリミット。


どう過ごせば最後に笑えるだろうか。





















作者
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「本当の愛」、投稿ボタンと間違えて削除押しちゃった…😫
嫌になったからこっち書いた(((
作者
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語彙力死んでる…、頑張って理解していただけると嬉しい…。、

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