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第8話

どうにでも
「おい」
「部長が呼んでるぞ」
「おい」
「どうした」
上司に肩をたたかれて自分のことだと気が付いた。
「部長が呼んでるぞ」
俺は何とか気持ちをつなぎ止め会社に行っている。
「なんか、あったか。顔色悪いぞ」
相変わらずこの人は俺を気に掛けてくれている。
「大丈夫です。行ってきます」
今にも涙があふれそうだ。悲しい。でも誰かに相談したところで彼女はもういない。それだけはわかっている。
「君のプロジェクトが海外の超大手の目に留まったんだよ」
部長が俺と正反対の感情をぶつけてくる。嬉しそうだ。
「そうなんですか」
「なんだ反応悪いな。ここはもっと嬉しがるところだろ」
素直になる余裕はなかった。
「それでね、大手が提携して君を本社に招きたいって」
「はい」
これも反応が悪いと言われるのだろう。
「3年間の海外研修。行くよね」
「はい」
もうどうにでもなればよかった。この返事に意志はなかった。

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小林捺哉
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小林捺哉
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