今日はあの人が来ない
そんな毎日来る訳なんかないよなぁ
と考えながら、少し寂しい気持ちになる
名前を呼んでも虚しく空中に吸い込まれる
.......スンチョルさんは変な人だ
いつも黒で自分を隠している
私には分かる
このお店を持ってから長くはない
でもその人が選ぶ飲み物で気持ちがわかるのだ
初めて彼がお店に来た時、びっくりした
本当に疲れていたから
なんて言うのかな、オーラというか、なんと言うか.......
そんな事を感じたら、(あー、美味しいコーヒーを飲ませてあげたい)って気持ちになった
コーヒーを飲んだ彼は、ふぅっと、息を吐いて優しい顔になったんだ
だから、すごいじーっと見てしまった.......
あれ、この人ってこんな顔するんだって
まだ2回しか会ってないし、スンチョルさんが来てくれないと彼とは会えない
それなのに、考えてしまうんだ
なんだろうか、この気持ちは.......
あー、母性本能?みたいな?
寂しそうな人放っておけないみたいな?あれだよね、うん、
本当に憶測でしかないけど、あなたと恋愛はしてはいけない気がするの
だから、私もあなたのように、心に、気持ちに蓋をする
もう取り出せないように
.......あなたはお客様
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!