第57話

アズリエルのお話
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2022/08/13 07:00
天我
…本当に、居なくなるんだもんな。
アズリエル
……うん。
天我
普段下ネタばっか言ってるからさ…っ!最近、天使ってことさえ忘れてたんだよなー。
アズリエル
……うん、
天我
何その顔。らしくもない。
仕方の無い事だった。

だって、これはただの夏休みだもの。

どれだけ願っても、足掻いても、夏休みはおわるものだから。
ね、そうでしょ?



◆◆◆


アズリエル
ただいま●こぉぉおおっっ!!
「アズリエルさん、そろそろセクハラやめてください…神様に通報しますよ?」

「アズリエルさんは相変わらずですね……。」
アズリエル
………………。
アズリエル
つまんないの、
天我だったら、なんていうだろう。

「急に大声で何言ってんだ!」とか?

いや、「何言ってんだよ。」って叫ばないパターンのツッコミ?

目を見開くか…いや、これくらいだったら多分半瞳で見つめてくるんだろうな。
じゃあ、声色は?イントネーションは?体の動きは?
…わかんないよ。そんなの。



◆◆◆


ただの遊びのつもりだったの。

天使のみんなは全員ノリが悪い。かと言って顔を真っ赤に染めることもなく、普通に軽蔑した目で叱ってくる。


だから私はずっと世界No.35286に、地球に、日本に固執して生きていた。

周りには変わってると言われるが、天界の身でありながら、くだらないYouTubeや2chの書き込みを見るのが好きだった。




天我を生き返らせたのは、ただ単に面白かったから。

その名前が、死に方が、生き様が、死ぬほど滑稽で面白かったから。

どこにでも居そうなただの童貞。でも、それでもそれが、天界にいた私にとってはかけがえのないものだったから。
アズリエル
(それで、ただのノリで、私は異世界転生をした。)
だって、No.4545のあの世界は、死ぬほど面白いと思わない?

あんな、勘違いであんなことになった世界は、あの世界だけだったから。

でもあの世界に私一人で行くのは、面白くないと思った。

もし私の大好きな日本の人があの世界に行ったら、どんな反応をするだろうって思った。



それで私は…天我を生き返らせるという禁忌に及んだ。
アズリエル
ただ、それだけです。



私は正直にそれを、神様に話す。
だって、バレたのだから仕方がない。
『そんなことして許されると思っているのか!お前ら死んだ人を生き返らせたんだぞ!』
そんな怒号が私を襲う。
アズリエル
(めんどくさ…)
もう何もかもが面倒くさかった。

物置に閉じ込められる系?天使としての格下げ?どーでもいいのよ。

私にとって、この天界にいること自体がお仕置だもの。



『罰として、あの忌まわしい人間のいる世界で過ごしてもらう。』
アズリエル
…………………っっ/////
あぁ、そういう?
『お前の場合初犯だしな、ガブリエル(※エメリー)と同じ罰だが…、体は天使のままにしといてやろう。そうだな、期間は……』
アズリエル
神様、私。人間に恋をしたんです。
『……………………は?』



◆◆◆


アイヴィー
それで、戻ってきたんですか?だよ。
アズリエル
そうね。何とか。
ヴァイオレッタ
…果たして本当に人間としてここに来るための嘘だったんですかね〜??
アズリエル
は…ッな、何を言っているの!ふざけないで!////
アイヴィー
何の話ですか?だよ。
ヴァイオレッタ
んふふ〜、いえいえ〜、最近TLの描きすぎで脳がバグった人の戯言だと思い下さい〜♡
アズリエル
もぅ、もう……////この話は天我には内緒だからね…っ!
アイヴィー
この世界に戻ってきたこともまだ話してないんですよね?だよ。
アズリエル
そう、だから…その。いきなり言って驚かせようと思って!フフンッ
アイヴィー
……怒られるんじゃないですか?
アズリエル
なんで?!?!
アイヴィー
だって、そんなの。嘘でしたって言ってるようなものじゃないですか。
アズリエル
ぇ、えっ、感動しないってこと…?!天我はこの3ヶ月間、余裕綽々だったってことになるわよ?!私は、あんなに……っ
アイヴィー
3ヶ月間……??
アズリエル
え…??
あ、そういえば…………天界での時間と人間界の時間は差があって…………
アズリエル
……今、私がいなくなってから何日たった?
ヴァイオレッタ
……1日もたってませんよ。というかついさっきですよ?
アズリエル
……………………。
まずい。まずいまずいまずい。
ヴァイオレッタ
……アズリエル、もう少し待ちませんか?
アズリエル
え?
ヴァイオレッタ
私の家でもいいです、もう少し身を潜めるんです。…その方が、感動の再会でしょう?
アズリエル
……………………。
【会いたい会いたい会いたい会いたいVS今言ったら嫌われる引かれる私しか感動しないなんか癪に障る】
アズリエル
たっ、
アズリエル
確かに!!(地獄継続)



◆◆◆


アズリエル
うわぁぁああん、天我に会いたいよぉぉおおお
ヴァイオレッタ
う〜ん、赤ちゃん化しちゃったみたいです〜、どうしましょ〜
魔王軍幹部:メイヴ
…知らないよ、ヴァイが勝手に持ってきたんだからね!僕は手伝わないからね!
ヴァイオレッタ
う〜〜ん……、
ヴァイオレッタ
「なんだ、もう帰ってきたわけ?はぁ……なんか普通に来たよな、普通に。拍子抜けっつーかさぁ……、」
アズリエル
天我はそんな事言わないもん!!!
ヴァイオレッタ
いたたたた、
やめてなのです〜っっ



◆◆◆


天我に会える天我に会える天我に会える〜〜っ!!!
アズリエル
~~~~っっ!/////(ガッツポーズ)
自然と足取りが早くなった。幸せな気持ちで天我の来る家に待機、足音が聞こえてくる度心臓の音が早くなる。

いざ、いざ、いざ……!


ガチャッ
アズリエル
………………っっ!
天我
…………。






色々想像してたんだ、再開した時、どんな顔するかなって。

目が見開くかなとか、驚くだろうなとか、もっとも、それを考えてた時は「帰れるはずもないんだけど」なんて思っていたけれど。
今、こうして会えている。


天我
ん?正座しないのか?
アズリエル
へ……っ??
今、なんて???
正座しないのか……?どういうこと?えと、顔は真顔で…なんか、驚いてないみたいで……!
正座?!怒ってる?!?!?!
アズリエル
………………えと、はい…、
とにかく言われたどおり正座する。

いやいやいやいや、なんで私正座させられてるわけ?!よくわからな……っ
天我
ポフッ
アズリエル
?!?!/////
膝枕してる──────?!?!?!

なんで?!?!なんでこの人真顔で膝にぽふってしたの?!?!
天我
何してんのアズリエル、胸見せないの?
アズリエル
はぁぁあああ?!?!/////
なっななななっっ
アズリエル
天我さん天我さん!!その、私が悪かったです!怒ってるのはわかりましたからもう許してください……っっ、流石に胸はっっ!
天我
…………??
天我
ん?
天我
んん~~??
圧を感じるよお~~~~~!!!!!!
アズリエル
ぁ…………ごめんなさ…、
あれ、私……何に謝ってるんだっけ…………?

でも、なんか……

天我をこうして膝枕して……

天我が甘えてるって考えると…………

これ、も悪くない……♡♡♡
アズリエル
私、見せ…………♡♡
天我
パンッッ
アズリエル
?!?!
はッッ正気を失ってたわ私!!流石におかしいでしょ!!天我におっぱい見せるとか!!
天我が自分の頬をぶっ叩いたため目が覚めた……!

いやなんでぶっ叩いた?!?!
天我
もしかして、これ夢じゃない……??/////
アズリエル
え…………っ
天我、顔赤い。

そっか、「しないのか?」だとか、妙にいつもやってるふうだったのは……
アズリエル
ずっと、私の夢見てたの……?
アズリエル
頻繁に……?
アズリエル
私が居なくなってから……?
アズリエル
ずっと……?
天我
…………うるせぇなぁ……////
何それ、…………////
アズリエル
もぉぉ~~~/////
アズリエル
ただいまんこ…っっ!!
天我
おかえりつい、
立位りつい…………っっ?!?!
アズリエル
もう、私じゃなきゃ伝わらないわよ?////
天我
アズリエルだったんだからいいんじゃね…/////
やっぱり、天我がいい。天我じゃなきゃやだ。

下ネタ言うのも、下ネタ言われるのも、天我がいい。
『神様、私。人間に恋をしたんです。』
アズリエル
(何馬鹿なこと考えてるの……////)

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