第2話

朝のドッキリ
2,984
2018/05/14 13:41
朝の目覚ましは、俺の眠りを嫌でも覚ましてくれはった。

叩くようにボタンを押し、立ち上がって背伸びをする。これが俺の毎朝やることの内の2つ。
「あ、うらたさんからメールや」
内容は明日のライブリハの内容。変更が多少あり、それを確認するらしい。
「昨日言い忘れたんやったな。…ほんま可愛ええ人やなぁ」
「誰が可愛いって?」
「そりゃ、うらたさんに決まって…え。う、うらたさん!?」
パーカーにジーンズという格好で、うらたさんがいつの間にか部屋の入口におった。彼は邪魔するぜ、と言ってから、寝起きの俺にコンビニ袋を渡してきた。

いつもやったら、何か貰えたら嬉しくてすぐ中身を見るものの、今回は驚きで思考が働かんかった。
「な、な、なんでうらたさんがここに!?」
「悪いかよ」
「いやほんま嬉しいですけど!!」
固まった俺を前にしても、うらたさんは気にせず、普段と同様クールな表情でなぜか俺の部屋を片付け始めた。
「てか、なんで部屋片付けとるんですか!?」
「いや、デスクの上グッチャだし、床も本とか資料とかファイルの墓場だし。これは片付けない方がおかしい」
「…なんかすんません」
いつの間にか俺は自然と部屋の隅へ誘導され、小さな体が俺の部屋を歩き回るのを見ていた。
(申し訳ない…でも──)

「なんでウチにおるんですか?」
「っ…!」
俺が質問を小さな背中に投げかけると、彼はそれっきり止まってしまった。

出かける約束もしてへんし、来る予定もあるわけない。リハの前日は休む派のうらたさんが、わざわざ来てくれはる理由が、俺にはわからへんかった。
「…に…かっ…だ…」
「ん?今なんて?」
「…しょに、…かった…んだ…」
「んん??」
さっきより音量を上げたようだが、俺には何を言っているのかさっぱりやった。
「うらたさん、もう一回──」
「一緒に出かけたかったんだよっっ!」
「言って…え、えぇぇぇ!?」
俺は目を丸くし、その上大きな声を出して驚いた。その視線の先では、うらたさんが耳まで真っ赤にして、横目でこっちを見ていた。
「あのうらたさん…」
「なんだよっ!」
「いつからそない可愛くなったんですk──ブフォっ」
「俺は可愛くないからなっっ!」
「殴られた…でも勢いあるキスやと思ったらうれし──ゴフッ」
「…変態め」

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