第8話

非科学的
21
2020/07/17 13:41
雨霧普
雨霧普
………………冗談も程々にしてくれないかな。
夕霧時雨
夕霧時雨
嘘じゃないよ、本当だもん!!
否定された事に腹が立ったのか、彼女は頬を膨らませる。

割と可愛らしい顔立ち。

僕よりも年下だろうか。
雨霧普
雨霧普
非科学的だよ。第一、証拠も無いじゃないか。
夕霧時雨
夕霧時雨
ショーコ?
雨霧普
雨霧普
証拠。
我ながら大人気無い_______大人では無いが、と思ったが彼女の目を覚まさせるにはこれくらいが丁度良い。

くだらない御伽噺に付き合わされているのに、何と親切な人間なんだろう。
夕霧時雨
夕霧時雨
んー、何が見たい?
雨霧普
雨霧普
何って…………………すり抜けたりとか?
昔、読んだ本では幽霊は壁やら人やらをすり抜けていた筈。

結局、面白くも無い本だったけど。
夕霧時雨
夕霧時雨
分かった!
雨霧普
雨霧普
え、うわっ!?
いきなり彼女が僕に突進して来た。

訪れるであろう衝撃にギュッと目を瞑る。
雨霧普
雨霧普
っ………………………?
しかし、何時まで経っても恐れていた衝撃は訪れない。

ただ、身体が何か冷たい物で覆われている様な?

ゆっくりと目を開く。
雨霧普
雨霧普
なっ…………!?
夕霧時雨
夕霧時雨
ふふふ、吃驚した?
彼女の半透明の身体が僕の身体に重なっている。

それだけでも衝撃的なのに、彼女は何食わぬ顔で僕の身体をすり抜けた。
雨霧普
雨霧普
あ、あぁ………………。
目の前で起こった、信じ難い光景に失神しそうになる。
夕霧時雨
夕霧時雨
一寸、話して行かない?
彼女は僕の隣に座った。

不自然に肩が震える。

彼女はそんな僕を見て、クスリと笑った。

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