僕のバイト先は、最寄り駅から徒歩5分圏内のコンビニ。
上京してからは、ずっと此処で働いている。
……………勿論、挨拶なんて返って来ない。
それには、もう慣れたし、大体そんな事で気を落とす様な僕じゃない。
問題はもっと他にある。
店内の奥から聞こえる、小さな悲鳴。
____また始まった。
店長の新人へのセクハラ。
ここ最近は、以前にも増してエスカレートしている様に感じる。
胸や太腿を触ったり、執拗に視線を送ったり。
男の僕から見ても、気持ちが悪い。
でも、助けようとは思わなかった。
ボサボサの髪、分厚い眼鏡、大きな胸。
店長の餌食になるには、余りにも相応し過ぎる。
只、僕は見た目云々よりも、巻き込まれたく無いというのが本心だった。
社会の闇には目を瞑るものだ。
彼女には悪いが。
彼女の啜り泣く声を無視して、僕は更衣室に向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。