第3話

バイト先
37
2020/08/11 01:49
雨霧普
雨霧普
着いた。
僕のバイト先は、最寄り駅から徒歩5分圏内のコンビニ。

上京してからは、ずっと此処で働いている。
雨霧普
雨霧普
……………お早う御座います。
……………勿論、挨拶なんて返って来ない。

それには、もう慣れたし、大体そんな事で気を落とす様な僕じゃない。

問題はもっと他にある。
バイトの女の子
っ…………………。
店内の奥から聞こえる、小さな悲鳴。

____また始まった。

店長の新人へのセクハラ。

ここ最近は、以前にも増してエスカレートしている様に感じる。

胸や太腿を触ったり、執拗しつように視線を送ったり。

男の僕から見ても、気持ちが悪い。
雨霧普
雨霧普
…………………着替えよ。
でも、助けようとは思わなかった。

ボサボサの髪、分厚い眼鏡、大きな胸。

店長の餌食になるには、余りにも相応し過ぎる。

ただ、僕は見た目云々うんぬんよりも、巻き込まれたく無いというのが本心だった。

社会の闇には目を瞑るものだ。

彼女には悪いが。
雨霧普
雨霧普
…………………………………。
彼女の啜り泣く声を無視して、僕は更衣室に向かった。

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