彼女がグループに入ってちょうど
1年がたった頃だったと思う。
1人のメイクヌナが9人のいる楽屋に入ってきた。
あなたのメイクをして戻ってきたようだった。
でもどこかいつもと様子が違う、
焦げ茶色の瞳からこぼれ落ちたその大粒の涙に
嘘などないと、9人は心の中で信じきってしまった。
まだ彼女は戻ってきていないと言うのに。
あなたの頭は真っ白になった。
なんで?どうして?
私がこの傷を作ったの?いつ?
この時、本当にあなたの味方だったのは
他のメイクヌナとスタイリスト、
そしてひょんじんとじそんの2人だけだった。
やったやってないよりも
ほかの何よりも彼女の心を傷つけたのは
そのちゃんびんの言葉だった。
" あとから入ってきたやつ "
ずっとそう思われていた、
その事実が彼女の心に追い打ちをかけた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。