友達のキラキラが、一生懸命何かを読んでいた。
そばに行って、
「なぁ」
話しかける。
「ん〜?」
目は読んでるものから離れない。
「挿れても良くない事ってある?」
「ないよ、いつもぎちぎ」
うっかり言いかけて、真っ赤になって顔を上げた。
「やめろ、変なこと聞くの!」
ちぇっ。
聞きたかったのに。
でもそっか、キラキラは、いつもいいのか。
なんかやり方があるのかな。
あるなら教えて欲しー。
しゅんとした僕の様子に気付いたのか、優しい口調になって、
「誰かとやって、良くなかったの?」
心配そう。
嬉しい、もっと心配して。
「スキャンダルだめだよ?
俺たち大事な時期なんだから」
そっちか!
僕の心配じゃないんだ?
「それは大丈夫。
女の子と遊んだりはしてない」
メンバーとは遊んでるけどね。
「ただ、女の子と男とじゃ、やっぱり違うんじゃないかなって思って、単純な好奇心?」
「それは、聞く相手を間違ってない?
俺じゃわかんないよ。
他の人知らないもん。
他のメンバーに聞いてみれば?」
キラキラは、俺、今、これ読んでるから、って、しっしって、追い払うように手を振った。
僕だって、聞けるもんなら聞いてるよ。
でも、何て聞いたらいいか、わからない。
ねだってやらせてもらった挙げ句、想像してたより良くなかったんだけど、僕は大丈夫なのかな、あなたは僕に満足してるの? なんて聞ける?
入り口は確かに強い圧迫感があって、まるで太いゴムみたいなんだけど、中が、粘膜にくるまれる感覚じゃなくて。
どこにも突き当たらないし。
イケないわけじゃなかったけど、僕は口でしてもらう方が何倍も好きだ。
僕の中もあんななのかって思ったら、不安になる。
「やりたい病はおさまったん?」
優しく僕の頭を撫でながら、穏やかに聞いてきたから、彼の綺麗な顔を見る。
目が輝いてる。
僕への欲望が高まってる時の、何とも言えない男っぽい顔。
狩られる小動物みたいな気になって、期待にぞくぞくする。
確かにここんとこ忙しくて、1週間ぐらいご無沙汰だった。
「あの、あのさ」
「ん?」
頭を撫でる手が、頬に移り、唇や顎に来た。
親指で、ゆっくり撫でてくる。
この辺りで僕はもう、気持ち良くなって、熱が生まれ始める。
「あなたは、僕に満足してる?」
面白い事を聞いたように、眉が上がった。
僕の肌を撫でる手は耳から首に来た。
ぞくぞくする。
「おまえはどうなん?
不満なんか?」
「その聞き方はズルいです」
手が鎖骨から肩に来る。
たまらず、彼の広い胸に飛び込んだ。
当たるところどこでも構わずキスをする。
舐めて、吸って、歯を当てる。
「僕、女の子じゃないから」
「せやな。
けど男にしたら、かなり柔かいで?」
手が背中に回って、肩甲骨や背骨を確かめるように動く。
その先には……。
「僕の中、ゆるかったりしませんか?」
低く笑った。
いやらしいけどかっこいい声。
お尻をつかむ手、僕の穴を撫でる指。
「僕はゆるかったんか。
がっかりさせたんか」
「違う、そうじゃなくて。
女の子とは違うってわかった、っていうか」
「違わんて」
言いながらいい匂いのクリームを取った。
そのまま、僕の中に入ってくる。
「むしろキツキツで、傷付けないか心配になるで?」
えー、そうなんだ。
あれ。
もしかしてそれ、サイズの問題?
「綺麗や」
ふわりと押し倒されて、キスされる。
大好きなキス。
中の指の動きと、僕を探る舌の動きに、頭の中がぼうっとしてくる。
『ふたりで話し合って、ふたりにとって気持ちいいやり方を探っていけばいいんだよ、それもすごく楽しいよ?』
不意に頭の中で友人のキラキラの声がした。
そうだな、確かに楽しいな。
彼が僕の中に、ゆっくり入ってきた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。