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第39話

~38~
2,094
2021/11/01 13:39
白布 賢二郎
オイ。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
あっハイ!どうしました!
決してこのオイ、は白布さんが怒っている訳ではない。


優しい声での不器用さが少し混じっている声かけだと、


やっと最近分かった。


初めは少し萎縮していたけど、今はそんなことない。
白布 賢二郎
何か頻度増えてねぇか?
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
…??
月島 蛍
ん、あぁ…そゆこと。
白布さん、言葉足りてないです。
赤葦 京治
何かあるの?コンテストみたいな。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
えっ!!!何故それを知って…
国見 英
明らかですよ、最近タルトよく作りますもんね。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
あきらだけに…?
孤爪 研磨
フフッ、珍しくボケてるね。
別に美味しくないとか飽きた訳じゃないよ。
白布 賢二郎
むしろその頭からどんだけレシピ出てきてんだよっつーレベル。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
ごめんね…太らせようとか企んでる訳じゃないんだけど、流石に一人では食べれないし…
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
スポーツマンには多すぎるか…。
ここ1ヶ月近く、かなりの頻度で色んなタルトを作っていた。


私も分かってはいて、いつかは聞かれることだとは思っていた。


申し訳ないとは思いつつも、


私一人で残すより皆さんにも食べてもらった方がメリットが大きかった。
月島 蛍
いや、僕は全然。むしろ楽しみになっているのでお気にせず。
赤葦 京治
それは多分みんな思ってるから気にしないで。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
じゃあ…せめてご説明を…。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
実は、クリスマス前の12月20日に、コンテストがございまして…。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
スイーツとか、パティシエのコンテストなんですが、今回パティシエとしての資格を持っていない人が参加出来、尚且つタルトを作るのが条件でございまして…。
孤爪 研磨
凄い丁寧。良かったじゃん。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
良かった、んだけど、これといってパッとしないレシピばっかりで…。
なんだかんだ、発想、デザイン、材料、製作、試行錯誤…


もうなんやらでメンタルはやられていたが、


皆さん何も聞かず優しく接してくれたお陰で、


私は正常を保てていた。
白布 賢二郎
テーマは?あるのかよ。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
「心」だそうでして…。
月島 蛍
…どの心を作るか、或いは全部乗せか。
国見 英
全部乗せたらゴチャゴチャしない?
赤葦 京治
うん…見て美しく食べて美味しく、って、案外難しいよね。
白布 賢二郎
あなた次第だな。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
えっ。
分かってはいたけどこうも優しく言ってくださると拍子抜けな顔になってしまう。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
あ、あの、私頑張るね!
それから参考になのだけど、皆だったらどんなタルトを作る…?
孤爪 研磨
リンゴだね。外パリパリ中じゅわり。中にも外にもりんご使う。
あれは疲れたときに最高。
赤葦 京治
素人意見でもいいの?
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
全然!
素人、なんて言わないでほしい。


そんなこと言ったら、私だって素人だし、


こういうのは普段思ってる意見を言ってくれるし、


私にはない考えだって沢山持ってる。
赤葦 京治
俺は、タルトって聞くと厚さ的に薄いのが多いから厚めだと嬉しいかな…。
やっぱり、ボリューム考えるね。
月島 蛍
僕はイチゴタルトたまに食べますよ。勿論誕生日のやつも美味しかったですけど。
気になるのはやっぱりジュレとかオシャレですよね。見た目も味も。
国見 英
塩…は無いですけど、キャラメルとチョコのタルトは美味しいですよ。甘いのとしょっぱいのが合わさって。
白布 賢二郎
あなたのタルトしか基本食べないから知らないけど、考えるとソースとか掛けられたら良いと思う。
何種類か置いといて、好きにその人がかけられるような。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
食感、厚み、ジュレ、味の変化、ソース…。
 天瀬 (You)
天瀬 (You)
珍しく、真剣な顔をして天瀬は大きく膨らんだノートを広げた。


写真やレシピの紙が丁寧に挟まっているノート。


ガリガリと鉛筆の音だけが響く部屋。


皆空気を読んで、その真剣な天瀬を見ていた。

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