遂に引っ越しの日。いや、まぁ、次の日ですが。
荷物はもう粗方あっちに送った。
今日まで使うものは今、バッグを持っているけど。
これが凄く重くて、手が痛い。
場所がいまいち分かりにくいから迎えを、
とのことだが、どうやら管理者の都合が合わず、
住人の方が迎えに来てくださるらしい。
時間になったら声を掛けると言われたけど、
ふ、二人しかいないよ、まぁ平日ですけども…
おばぁちゃんとか、ランニングの人とかを除くと、
二人のみ。
一人の方は、黒髪の、とても身長が高い人。
もう片方の方が余計怖くて、き、金髪……
ゲームしてるよ……?怖いよ…?
おばちゃん良い人って……騙されてんじゃないの…?
なんて、考えている間に時間になった。
黒髪高身長の方は、キョロキョロと周りを見渡し始めた。
あぁぁぁ、探されてる…
少し顔を上げると、目があってしまった。
すると、歩いてこちらに近付いてきてくれて、
黒尾さんの後ろから出てきたのは、
さっきの金髪の…!!
え!?この人が住人!?
い、いや落ち着けあなた……、
外見で判断してはいけない…!
というか、黒尾さん違うんだね…
なんだろうか、どこかで会ったような気が…
しなくもない。
どこだったっけ…
ペコリと頭を下げて、笑顔の黒尾さんと、
こちらをチラチラと見る孤爪さんに付いていく。
黒尾さんは、なんとなく雰囲気からして、
年上だなとは感じていた。
孤爪さん、同い年なんだ…!
まさかの同じ大学の人が!!
知っている人、居るかなぁ…
…うん?待てよ?
話している内に、ある違和感に気付いた。
何だろうか、とても話しやすい。
黒尾さん凄いなぁ…、
相手が話しやすいように話題も作って。
ありがたい気持ちしか無いや…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!