『♪~♪~』
テレビを見ていたら、
突如耳を突くように電話の音が鳴った。
名前を確認すると『赤葦くん』
少し驚きながらスマホを取ると、
連絡をすることは多いけど、
電話は中々珍しいことだった。
私が出来ることと言えば料理だし、
もし食べ物が要るなら用意したい。
どうやらその〝2人〟と話しながらこちらとも話す赤葦くん。
大分疲れきった声をしながら、更に申し訳なさそうにする。
それから急いで冷蔵庫を確認すると、
何となく作れそうなものが頭に浮かんだ。
面白い人達、って意味かな?
それならもう大歓迎だなぁ…!
それからスマホを置いて、急ぎ準備をする。
それから私は二種類のお菓子を用意するため、
とにかく手を動かした。
洗い物は多くなるけれど、お客様にお出しするものだし、
別に構わない。
美味しいものを提供する為、だもんね。
それから思考と手を休めることなく作り続けて40分。
今日は皆練習とか講義やらで忙しいのだとか。
そんな中唯一バイトも無く、午前講義のみな私。
当然暇なわけで、お昼は友達とランチをし、
買い物を済ませて帰ってきて暇を持て余してた訳だ。
勿論課題も無いわけではない。
でも夜型だし、白布くんなんかはたまに教えてくれることもあるから、
正直心配はいらない…あまり頼っちゃダメだけど…。
何て考えていたら、
『ガチャッ』
やけに息の揃った声が、一人だった静かな家に響いた。
と共に死にかけている赤葦くんの声。
今すぐ寝てほしいという気持ちもある。
元気に挨拶してくださった二人は、
なんと、顔と姿が瓜二つな双子でした…!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。