凛と一段落した後、
今日は買い物をせずに家に帰った。
ちょっといつもより遅くなっちゃったかな…
すぐご飯の準備しないとっ…北斗が
……
あぁ…北斗とも…顔合わせずらいっ…
ガチャ
重い気持ちでドアを開けた
トントン…トントン
…ん?
包丁とまな板の音…
誰か料理してる…?
ゆっくりとキッチンへ歩いていって見てみると
トントン…
トントン…トントン…
北斗が切っているのは玉ねぎ。
目をぎゅっとつぶって痛がりながらザクザクと切っていく…。
…え…
『やっぱ学校行きながらの家事ってかなり大変だからさぁ〜!ちょっとでも手伝ってくれるのってすっごい助かるんだよねぇ〜!!』
あれ…気にしてたんだっ…
トントン…
私は少し笑って近くの割り箸を取って北斗に差し出した
理解が出来ないまま北斗は目の前の割り箸を奥歯で噛む
トントン…トントン
目を見開いて北斗は嬉しそうに私を見た
感心しながら切り終わった玉ねぎをボールに入れた北斗は、割り箸を取った。
キッチンに並んでいるのは
切り終わった玉ねぎと、人参と、ジャガイモと…
あれ、なんか思ったより普通に話せてるなっ…
良かった…
北斗は急に真剣な顔になった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。