第52話

告白-直樹side-
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2020/06/11 03:08
「ちょっとここで待っててね」
保健室で先生にそう告げられ、隣のベットに座る楓ちゃんと…二人。
平井 楓
平井 楓
……
日向 直樹
日向 直樹
…大丈夫…?
やっぱり体調不良なのか…。
…っていうか…なんで千咲は俺に任せたりしたんだろ…
千咲のことだから、助けたら最後まで傍にいたいとか思いそうだけど…。
悶々とそんなことを考えながら…チラッと楓ちゃんを見る。
平井 楓
平井 楓
……っ。
緊張してる…?辛いだけか…?
平井 楓
平井 楓
…あのっ…
日向 直樹
日向 直樹
…っ!
平井 楓
平井 楓
…せ、先輩っ…
日向 直樹
日向 直樹
ん?
平井 楓
平井 楓
…っあのっ…その…
平井 楓
平井 楓
…//
平井 楓
平井 楓
…に、二年前…
日向 直樹
日向 直樹
…?
平井 楓
平井 楓
二年前…!…覚えてますか…?
中学の体育祭の時か…?
確か楓ちゃんが怪我して…俺が助けた時…
日向 直樹
日向 直樹
覚えてるけど…
平井 楓
平井 楓
あ、あの時まで…私っ…//
ん?
まさか…
この表情…
平井 楓
平井 楓
私っ…
平井 楓
平井 楓
ずっと先輩は厄介者のように思ってて…
平井 楓
平井 楓
ずっと私が雪のそばにいたのに…
平井 楓
平井 楓
私の雪を奪わないでって…ずっと…
中学の時。
その当時可愛いなと思って付き合っていた彼女、雪は…楓ちゃんの親友で…
デートや下校の約束をすれば、楓ちゃんから冷たい目線が向けられていた。
日向 直樹
日向 直樹
……
平井 楓
平井 楓
でも…あの時助けてもらって…
平井 楓
平井 楓
雪がずっと…先輩は優しいんだって言い続けてた理由が…なんか…分かって…
必死に言葉を絞り出して、思いを伝えようとしてくれる楓ちゃん。
平井 楓
平井 楓
私っ…先輩が…!
日向 直樹
日向 直樹
……
平井 楓
平井 楓
先輩が…
平井 楓
平井 楓
…好…き…ですっ…。//
日向 直樹
日向 直樹
…っ。
予想していた言葉よりも、ずっとストレートだった。
平井 楓
平井 楓
…///
顔を真っ赤にして息を整えている…
今までも…俺に告白してくれた子達はみんな…こんな顔だった…。
そしていつも俺は…「嬉しいよ。でもごめんね…。」なんて言葉並べて…。
それは心のどこかでめんどくさいと思っていた部分もあったからで…
でも…今はそれでいいのか…?
千咲に恋人のフリまでさせて…しかも中学からずっと俺の事思い続けてくれてる子にそんなこと…。
…っていうか今の俺は本当に…彼女なんてめんどくさいとか思ってるのか…?
日向 直樹
日向 直樹
……。
日向 直樹
日向 直樹
…楓ちゃん…。
平井 楓
平井 楓
…っ。
日向 直樹
日向 直樹
俺さ…
日向 直樹
日向 直樹
雪と別れてから…一度も彼女作ってないんだよね…。
平井 楓
平井 楓
…え…?
日向 直樹
日向 直樹
告白してくれた子はいたけど…断ってた。
日向 直樹
日向 直樹
最初は…めんどくさいとか思ってたんだけどさ…
楓ちゃんには…全部話した方がいい。俺の想い。
俺は不意にそう思った。
日向 直樹
日向 直樹
でも今は…
平井 楓
平井 楓
……
前まではただのクラスメイトで…接点もその程度で…
でも身近な存在になって…どんどん見えてくるものもあって…。
俺はいつしか…
日向 直樹
日向 直樹
付き合いたいって思う人がいるんだ…。
惹かれていってたんだ…。
『直樹くん!』
『私、付き合います…!』
『いいよ。彼女のフリ。私やる。』
『…い、いってきますっ』
『…な、な、直樹…(ボソッ)』
…それは…楓ちゃんじゃない…。
平井 楓
平井 楓
……。
千咲の声が…頭の中を回っている。
『もしかして直兄のこと、好きなの?』
前に北斗が家でそんなことを言っていたのを聞いたことがあったっけ…。
今思えば、あの時から俺も少しは意識するようになっていったのかもしれない…。
日向 直樹
日向 直樹
ごめんね。楓ちゃん。
日向 直樹
日向 直樹
でも…伝えてくれて…ありがとう。
平井 楓
平井 楓
……っ…
平井 楓
平井 楓
…な、何言ってるんですかっ…
平井 楓
平井 楓
私はただ…先輩が昔思ってたよりも優しい人だって分かって…
平井 楓
平井 楓
昔のこと…謝っただけですからっ。
平井 楓
平井 楓
深い意味なんてないですからっ…。
そう言いながら…目には薄ら涙を浮かべている。
日向 直樹
日向 直樹
…そっか…。
俺はそれだけ返すと
日向 直樹
日向 直樹
もうすぐ先生戻ってくるだろうし…俺、観客席戻るね…。
平井 楓
平井 楓
…はい。
日向 直樹
日向 直樹
体調悪い時ぐらい、無理しちゃダメだよ。
平井 楓
平井 楓
…はい。
日向 直樹
日向 直樹
じゃあ…また。
平井 楓
平井 楓
さようなら…
ガラガラ
今の俺が楓ちゃんの傍には居られない。
そう思って飛び出すように出てきた。
平井 楓
平井 楓
…グスッ…グスッ…
ドアの向こう側から…微かに楓ちゃんの泣き声が聞こえてくる…。
日向 直樹
日向 直樹
…ありがとう…(ボソッ)
楓ちゃんのおかげで…今の自分の気持ちを知れたんだ。
俺が…千咲を好きだって気持ちに_。

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