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修学旅行一日目の夜。
俺は好きな人に告白した。
…改めて。
千咲が見つかって安心して、勢いでってのはあるけど
それよりも、辛かった。
いつも当たり前のようにそばに居る千咲は
こんなにも簡単にいなくなってしまえるものなんだって思ったら…。
だから、気持ちを伝えられる時に、ちゃんと言うべきなんだって思った。
俺の気持ちは、変わらない。
千咲が好きだと実感したあの日からずっと_。
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涙を流した千咲は、笑顔でそう言う。
スッ…
俺は千咲の顔に向かって片手を伸ばした。
…ピタ。
伸ばしたその手は、千咲の顔に届くことなく降ろされた。
泣いて赤くなった目を擦って、千咲は頷いた。
多分、千咲は俺の事、好きになってくれてたんだろう。
俺が、
俺ははにかんで見せた。
目から伝わる。
千咲は心の底からそう思ってくれてるって。
俺も…
出会えて良かった_。
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千咲が去っていった後、
俺はそのまま上を見上げた。
気温も涼しくなって、
場所も山の方で、
1番、星が綺麗に見える時。
…ポロッ…
目尻からの感覚を、俺は咄嗟に手で拭った_。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!