第85話

私でいっぱいになってよ-北斗side-
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2020/11/27 06:54
小林 凛
小林 凛
うわぁ〜!星綺麗〜♡
別荘から凛と2人で出てきた俺は、
凛のその言葉につられて上を見上げた。
日向 北斗
日向 北斗
やっぱ街並みの中とは見え方全然違ぇな…
これを見た千咲は…なんて言うんだろう。
…あぁ。また千咲のこと。
今日の昼間、別荘に来る前に
少し拒否られたことがまた頭の中をよぎる。
あれから一日、ほとんど2人で会話をしていない。
千咲と話しているのは…直兄。
……
そう。今も…俺たちが後にした…別荘の中で2人きり…。
日向 北斗
日向 北斗
……。
俺は無意識に後ろの別荘を振り返って見ていた。
小林 凛
小林 凛
…北斗くん!
日向 北斗
日向 北斗
…!
小林 凛
小林 凛
なにやってるの〜?早く!
日向 北斗
日向 北斗
お、おう…!
俺は足を早めた。
_____
小林 凛
小林 凛
夏だけど、夜はちょっと風が冷たいね…笑
日向 北斗
日向 北斗
そうだな…
小林 凛
小林 凛
…下の売店ってどんなもの売ってたっけ?
日向 北斗
日向 北斗
飲み物ならあるだろ
小林 凛
小林 凛
アイスとかあるかなぁ〜!
小林 凛
小林 凛
あーでも、あそこの売店…品揃え悪かった気がするなぁ…
日向 北斗
日向 北斗
そうか…
別荘から続く階段を降りながら、2人でそんな話を続ける。
こんなふうに…千咲ともっと話がしてぇな…。
あいつ…ずっと今日のこと楽しみにしてて…
俺もすげぇ楽しみで…。
小林 凛
小林 凛
3つしかアイス無かったらどうしよっか!笑
日向 北斗
日向 北斗
さすがにあるだろ、
小林 凛
小林 凛
……
小林 凛
小林 凛
…その時は…
小林 凛
小林 凛
北斗くんと2人で分けて…
小林 凛
小林 凛
…関節キスとか…出来るのかな。
日向 北斗
日向 北斗
あー…
……
…ん?
日向 北斗
日向 北斗
…え…
今なんつった…?
俺は自分の耳を疑って凛を見た。
小林 凛
小林 凛
…あ、やっとこっち見た…。笑
日向 北斗
日向 北斗
…っ!
あ、やべぇ…
俺今…ずっと千咲のことばっか考えて…
こいつとの会話まともにしてなかった…
日向 北斗
日向 北斗
わ、悪ぃ。
小林 凛
小林 凛
……。
今俺と喋ってんのは凜なのに。
最低だな。人として。
小林 凛
小林 凛
いやっ…!私もごめんね!?笑
小林 凛
小林 凛
なんか変なこと言ってっ…
後が悪そうに凛が話を続けていると
ズルッ
小林 凛
小林 凛
うわっ!!
日向 北斗
日向 北斗
…っおい!!
ガシッ!
足を踏み外して転げ落ちそうになった凛の腕を
俺は反射的に掴んで引き寄せた。
小林 凛
小林 凛
…っ!!
日向 北斗
日向 北斗
…!
お互い、距離の近さに顔を赤らめる。
日向 北斗
日向 北斗
…//
小林 凛
小林 凛
…。//
「関節キスとか…出来るのかな。」
数分前の一言が頭をよぎる…
日向 北斗
日向 北斗
わ、わりっ…俺…//
我に返って咄嗟に掴んだ腕を離そうとすると
小林 凛
小林 凛
……
ギュッ
凛は何も言わずに俺の服の袖を握った。
日向 北斗
日向 北斗
…え…?
小林 凛
小林 凛
私で…
小林 凛
小林 凛
…いっぱいになってよ
日向 北斗
日向 北斗
…えっ
グイッ
チュ…
真っ直ぐな言葉と共に伝わったのは…
唇の感触。
日向 北斗
日向 北斗
……っ…
小林 凛
小林 凛
……。
状況が…理解出来なかった。
俺は何もかも知らなかったんだ
こいつの…俺に対する想いも…。
…そして…
この状況を…近くで千咲が目撃していたという事実も。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
……っ。

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