意外な言葉だった。
そんな顔されたら…断れないよ…。
それに、確かにこのストーカーらしき人をどうにかするには、彼女が出来たことにするのが1番手っ取り早いと私も思う。
同じクラスで関わりもあって、さらに一緒に住んでいるとなると、私は一番の適任者に間違いない。
しかも、フリと言えども直樹と恋人になれるとか…。
想像したら…なんか恥ずかしくなってきた…//
スッと直樹が顔を覗き込んでくる。
嫌だったというより…なんか意外…
今までの直樹はそんないじめっ子みたいなこと、するタイプじゃないだろうに…笑
それも…私との距離が、ちょっとは縮まったって事なのかな…。
まぁ少なくとも、恋人のフリをするのが「私が適任だろう。」と思うくらいには距離は縮まっていると言える。
なら、ここは腹をくくって…
素直に喜んだ顔。
ほんとに嬉しそうだな…。笑
それだけで私も笑顔になった。
話に一段落着いた頃…
見たことある人影を見つけた。
…北斗…?
誰かと話してる様子だった。
…女の子…?
…っ!?
こ、告白…!?!?
あっさりそう言った北斗。
…え、いいのか!?もっとこう…優しさとかそういうのっ…
女の子もあっさり帰っていった。
…え、そんな簡単に…!?
もっとこう…伝えたい思いみたいなのがっ…
あっさりすぎる一部始終についていけず、直樹と並んで立ち尽くしていると、
頭を掻きながらこっちを向いた北斗と、二人とも目が合ってしまった。
やばい…聞いてたの…バレた…?
自分の手が直樹と繋がっていることを思い出す。
咄嗟に私が手を離す。
直樹が私を見ながらそう呟いた。
私も直樹と北斗。いつもいる三人で、私たちが行こうとしていた近くのカフェに入った_。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。