第28話

彼女のフリ
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2020/05/12 01:00
日向 直樹
日向 直樹
まぁかと言って、最近結構紙が入ってる回数も増えてきて、さすがにどうにかしなきゃとは思ってたからさ…
日向 直樹
日向 直樹
…だから…
日向 直樹
日向 直樹
…彼女のフリ…して貰えないかな。
意外な言葉だった。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…え…!
日向 直樹
日向 直樹
いや、俺の周りって言えば千咲が一番長く一緒にいる人だし、ほとぼりが冷めるまでっていうか…
日向 直樹
日向 直樹
お願い…!
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ!
そんな顔されたら…断れないよ…。
それに、確かにこのストーカーらしき人をどうにかするには、彼女が出来たことにするのが1番手っ取り早いと私も思う。
同じクラスで関わりもあって、さらに一緒に住んでいるとなると、私は一番の適任者に間違いない。
しかも、フリと言えども直樹と恋人になれるとか…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
……//
想像したら…なんか恥ずかしくなってきた…//
日向 直樹
日向 直樹
千咲?
スッと直樹が顔を覗き込んでくる。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ!//
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…そ、それで今朝、噂に乗っかって嘘言ったの?
日向 直樹
日向 直樹
まぁそれもあるけど、今朝はちょっと…からかったというか…笑
泉谷 千咲
泉谷 千咲
からかった…!?
日向 直樹
日向 直樹
なんか、面白いかなーって…笑
日向 直樹
日向 直樹
あ、嫌だったなら!ごめんっ…調子乗った…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
あーいや…
嫌だったというより…なんか意外…
今までの直樹はそんないじめっ子みたいなこと、するタイプじゃないだろうに…笑
それも…私との距離が、ちょっとは縮まったって事なのかな…。
まぁ少なくとも、恋人のフリをするのが「私が適任だろう。」と思うくらいには距離は縮まっていると言える。
なら、ここは腹をくくって…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
いいよ。彼女のフリ。私やる。
日向 直樹
日向 直樹
…ほんとに?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
う、うん。その手紙の人の事も…心配だし。
日向 直樹
日向 直樹
…はぁ…良かった。
日向 直樹
日向 直樹
ありがとう!
素直に喜んだ顔。
ほんとに嬉しそうだな…。笑
それだけで私も笑顔になった。
話に一段落着いた頃…
見たことある人影を見つけた。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…ん…?
…北斗…?
誰かと話してる様子だった。
…女の子…?
日向 直樹
日向 直樹
…っ!北斗じゃん…。
女子生徒
女子生徒
あの…北斗くんのこと…ずっと…好きです。付き合ってください。
…っ!?
日向 直樹
日向 直樹
…っ!
こ、告白…!?!?
日向 北斗
日向 北斗
あーいや…その…俺そういうのは…ちょっと。
あっさりそう言った北斗。
…え、いいのか!?もっとこう…優しさとかそういうのっ…
女子生徒
女子生徒
そ、そうだよねっ…ごめんね急に、…じゃあ、また…。
女の子もあっさり帰っていった。
…え、そんな簡単に…!?
もっとこう…伝えたい思いみたいなのがっ…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
……。
あっさりすぎる一部始終についていけず、直樹と並んで立ち尽くしていると、
日向 北斗
日向 北斗
…あ…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…あ
日向 直樹
日向 直樹
…あ
頭を掻きながらこっちを向いた北斗と、二人とも目が合ってしまった。
やばい…聞いてたの…バレた…?
日向 北斗
日向 北斗
なに…お前ら…その手…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…手…?
自分の手が直樹と繋がっていることを思い出す。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…あっ!これはっ…!//
咄嗟に私が手を離す。
日向 北斗
日向 北斗
いや、なに…どゆこと…?
日向 直樹
日向 直樹
あー…北斗には、話した方がいいか…。
直樹が私を見ながらそう呟いた。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
あーうん…そうだね…。
私も直樹と北斗。いつもいる三人で、私たちが行こうとしていた近くのカフェに入った_。

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