あれから…少し日が過ぎた…。
楓ちゃんは覚悟を決めた様子に見えたものの…
あれから音沙汰無し…。
でも直樹によれば、手紙も日に日に無くなっているらしい。
そして今日は…
そう。
今日は体育祭。
凛が北斗の背中を押して、隣のクラスの列へ入っていく。
取り残されたのは、私と直樹。
「あんたの同居人がどんなやつなのか、この私が見極めてやるわよっ…!」
なんて言って、実は凛が自分から北斗と同じ競技出場をこぎつけたなんて…直樹には言えそうもない…笑
楓ちゃん…いないな…。
私が一年生の集まる方を見ていると…
直樹は私の探してる人を察したってことかな…。
手紙の件は収まってきて、楓ちゃんにも恋人のフリということがバレて、(っていうか直樹がバラしちゃって。)
結局周りには「友達に戻った」ということにしたのが、ついこの間のこと。
「迷惑かけて」なんて…
まぁ確かに私には関係の無いことなのかもしれないけど…
でもなんだか直樹に「関係ない。」と言われているようで…悲しくなってくる。
でも…直樹は知らないだろうけど…!
私にだって…同じ直樹を好きな人間として…関係あるんだよ…?
まぁ言えないけどさ…。
私の中でモヤモヤとしたものが渦巻いていた_。
そして…体育祭のプログラムが進められていく中…
私はずっと、楓ちゃんの覚悟が気になって仕方なかった…。
顔を赤らめた北斗は、小走りで棒引きの選手が集まる場所へ向かっていった。
み、見とけって…//
『直兄よりも…好きにさせてみせる』
私はまた、北斗の言葉を思い出して…どうすればいいのか分からなくなっていた_。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。