直樹は不意をつかれた顔をした。
生徒会に入れば、大学の視野が広がるって五十嵐さんは言ってた。
私が直樹の悩む理由になってることで、必然的にその先の未来まで狭めていたら…。
それって…
…直樹が…
…私の事で…嫉妬…。
そんなこと、今までじゃ考えられなかった。
あるとすれば…
『妬くとか俺の主義じゃねぇのに…』
『入れさせたくねぇからに決まってんだろ』
『なんで…俺じゃダメなんだよ…』
北斗からの…。
私の曇った顔を見て、直樹は我に返ったようにそう言った。
いつものスマートでなんでもこなす直樹じゃない。
私の事でこんなに悩んで…こんなに真剣になってくれて…。
私も…ちゃんと向き合わなきゃ…
自分の気持ちに…自信が持てるまで…
直樹と北斗…2人のことをしっかり考えられるまで…
返事はすべきじゃないと思った。
重い表情をしている直樹は
少し微笑んでそう言ってくれた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。