昼休み。今日は凛がB組まで来てくれた。
同居生活が始まって…早1週間。
学校には秘密という話だったけど、
さすがに親友&相談相手である凛に隠し事をする度胸はないので、
直樹くんに双子の弟がいることも、
その二人と1ヶ月一緒に暮らすことになったのも、
内緒にしてもらう約束で全て話した。
2人で向き合ってお弁当を食べていると…
振り返ると直樹くんが立っている
突然すぎてどう対応すればいいのやら…
家で話すことはあっても、今はお互い席も遠く、教室で向こうから話しかけてくれることは滅多にない。
紙…?
二つ折りにしてある1枚の紙…。
それだけ渡すとすぐに教室から出ていってしまった
向かいの凛は興味津々に紙切れを覗き込んでくる
…なんの紙だろ…?
二つ折りにしてあるのを開くと
「今日の放課後学級委員の会議があって遅くなるから、晩ご飯は適当に食べてくるよ。よろしく。」
と書かれてあった
私と同じくらいのタイミングで内容を読み終えた凛が不意にそんなことを言ってくる
でもなんだろう…凄く特別な感じがして…
「好きです」なんて文面じゃないにしろ、
これはこれでなんか…悪くない…。
いくら気まずくても、顔合わせたくなくても
さすがに生活費払ってもらってる家庭の人だし、二人とも料理は出来なさそうだし…私がやらなければ…。
私の持っていた紙の端の方を見て凛が呟く
「あと、父さんから仲良くって言われてるし、たまには北斗と一緒にご飯食べてあげてよ。」
三人ならまだしも、あの非常識ド変態と二人きりで…?
まぁでも…お互い顔合わせたくない関係のままだと、この先しんどいだろうし…
あの男と仲良くさえなっとけば、今後ここまで疲れるようなことも無くなってくるはず…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!