第42話

嫉妬
216
2020/05/28 09:45
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…//
日向 直樹
日向 直樹
…っ…//
き、キス…される…っ!?
私がぎゅっと目をつぶった瞬間…
日向 北斗
日向 北斗
直兄!風呂空いたぞ〜!
日向 直樹
日向 直樹
(ビクッ)
泉谷 千咲
泉谷 千咲
(ビクッ…)
我に返ったようにお互いに体を離し、
日向 直樹
日向 直樹
お、おう!すぐ行くよ…!//
部屋の外にいる北斗に大声で呼びかけて、
日向 直樹
日向 直樹
ご、ごめんっ…俺行くわ…!
駆け足で部屋から出ていった直樹。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…//
まだ、心臓がバクバクだ…。
今の…本当に直樹が…私に…
キス…しようとした…?
…でもどうして…。
取り残された私はただその場で息を整えるしか出来なかった_。
日向 北斗
日向 北斗
…あれ、直兄?
一方私の部屋の外では、洗面所から出てきた北斗がキョロキョロしている。
ガチャ
日向 直樹
日向 直樹
あー悪い悪い、今入るよ。
直樹が私の部屋から出てくるのと同時に北斗に呼びかける。
日向 北斗
日向 北斗
…え…
日向 北斗
日向 北斗
(今…千咲の部屋から…?)
洗面所の前で二人がすれ違うと、
日向 北斗
日向 北斗
おい、
日向 直樹
日向 直樹
…ん?
日向 北斗
日向 北斗
なんで千咲の部屋…
日向 直樹
日向 直樹
…っ…//…あー…さっき強引にお父さんとの話進めちゃったから、謝ろうと思って行ったんだよ。
日向 北斗
日向 北斗
……。
曇った顔をした北斗は、そのままの足で私の部屋に向かった。
コンコン
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ!!
ガチャ
日向 北斗
日向 北斗
千咲…?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ!ほ、北斗かっ…
日向 北斗
日向 北斗
何やってんだよ。こんな散らかして…
部屋中に広がった物を見渡して北斗が言った。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
お、押し入れ開けたらいっぱい落ちてきちゃって…笑
日向 北斗
日向 北斗
押し入れの中にどんだけ詰め込んでんだよ笑
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…あははっ…//
まだ心臓がうるさくて、愛想笑いしか出てこない…。
日向 北斗
日向 北斗
……?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
ど、どうしたの…?
日向 北斗
日向 北斗
直兄、なんでここ来てたの?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
えっ…
まさか見られてた…!?
いや、ドアはちゃんと閉まってたし…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
あの…お父さんとの電話あったでしょ?あれで勝手に話進めちゃってごめんって謝りに来てくれてたの…!
日向 北斗
日向 北斗
……そうか。
北斗…なんでそんな悲しそうなっ…
日向 北斗
日向 北斗
なんかされた…?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…え…?
さっきのことを問い詰められたような気がして…ヒヤッとした。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
な、なにかって…?
日向 北斗
日向 北斗
…あーいや、ごめん。やっぱなんでもねぇわ。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…北斗…?
なんか、思い悩んでる…?
日向 北斗
日向 北斗
…だせぇよな。俺…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…え?
日向 北斗
日向 北斗
妬くとか俺の主義じゃねぇのに…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ…//
妬くって…
それってつまり…
日向 北斗
日向 北斗
二人で部屋にいてさ…しかもお前そんな顔赤くしてさ…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ!
咄嗟に自分の顔を触って熱さを確かめる。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
こ、これはっ…//
日向 北斗
日向 北斗
人の感情なんてそんな簡単に動かせるもんなんて思ってねぇけど…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
……
日向 北斗
日向 北斗
なんで俺は直兄に勝てねぇんだろうな…。
…北斗が…
私の目の前で弱音を吐いている…。
しかも私に嫉妬なんてっ…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ…//
そんなの、どう返すのが正解なのか…分かんないよ…。
この間言われた北斗の一言が頭に浮かんだ。
『直兄より…好きにさせてみせるから。』

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