ケーキをパクパク口に運びながら、幸せそうな顔をする…千咲。
俺は思わず笑みをこぼした。
夢中でケーキを頬張って、
口にクリーム付けて…
心の中でバカにしながらも、そんな姿すら可愛いと思ってしまう…。
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しばらく会話を交わした後、千咲はずっと感じていた違和感を吐くように、俺に問いかけた。
強がって理由を付けたが、
ただ、2人だけで同じ空間にいて、向き合って話したかったから。なんて…言えねぇよな…//
精一杯の答え。
自分でも分かるくらいあからさまに動揺を見せると
千咲は満足に微笑んだ。
やっぱり、こいつと話すのは楽しい。
一緒にいる時間が幸せで、落ち着く。
…でもきっとこの気持ちは…俺だけなんだろうな…。
そう思うと虚しくなってくる_。
千咲は目を丸くして否定した。
本人は気づいてないかもしれねぇけど…俺には伝わる。
無意識にでもこいつは最近、
俺との距離を考えてる。
その理由はきっと、俺が千咲を知らないうちに傷つけていたか…
あるいは…
俺からの好意をどうしたらいいか、今まで以上に分からなくなったから。
そうか…直兄も遂に言ったか…。
…ってことは、付き合ったってことで、
俺の出る幕は本当にもう一切無くなったわけでっ…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。