第47話

楓ちゃんもきっと…
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2020/06/04 02:46
日向 直樹
日向 直樹
…てことが一回あったかな…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
……
そうだ…
そうだよ…
私が楓ちゃんのこと…ひどい。ありえない。って思うようなことでも…
直樹は…そんな風に人を貶したりしない…。
そういう人じゃん…。
私は…直樹のそういう誰にでも優しいところが…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…好き…(ボソッ)
日向 直樹
日向 直樹
…え…?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…あっ…!//
泉谷 千咲
泉谷 千咲
いや!違っ…!
日向 直樹
日向 直樹
…っ?…//
小林 凛
小林 凛
…ふーん…それきっかけで好きになり始めたってことかー…
日向 直樹
日向 直樹
いや、分かんねぇけどね?笑
いや…きっとそう…。
楓ちゃんは直樹の優しさを知って…
…それって…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
(私と一緒なんだ…。)
私も直樹の優しくて強くて…そんな所が好きだなって思って…
いつしか違うクラスでも廊下で探しちゃったり…一緒のクラスになれたら死ぬほど嬉しかったり…
恋…してたんだよ…。
楓ちゃんもきっと…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…ちょっと、私行ってくる…!
私の足は考える間もなく動き出した。
小林 凛
小林 凛
…え?ちょ、チサ!?
タッタッタ…!
一年生の教室は確かっ…!
走りながら楓ちゃんの姿を探していると
廊下を歩く彼女が見えた。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ!楓ちゃん!!
平井 楓
平井 楓
…っ!?
楓ちゃんの目の前で足を止めて…息を整える。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
はぁ…はぁ…
平井 楓
平井 楓
な、なんですか…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
はぁ…はぁ…あのねっ…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
私…好きなのっ…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
直樹のこと…好きなのっ…
平井 楓
平井 楓
…。
平井 楓
平井 楓
付き合ってないことはもう分かりましたから、今更そんな嘘つかなくてもっ…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…本当にっ…!
泉谷 千咲
泉谷 千咲
一年前から…ずっと…直樹のことが…好きなの…。
平井 楓
平井 楓
…じゃああの弟さんは…?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
北斗は…付き合ってないよ。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
一方的に気持ち、伝えてもらっただけっていうか…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
私はまだ…なんとも言えないっていうか…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
とにかく!北斗は関係ないの!
あれ?これ私…二股疑惑…どっちにしろ晴らせてない…?
いやでも今はそんなことじゃなくて…!
泉谷 千咲
泉谷 千咲
私ね…!分かるの!!
平井 楓
平井 楓
…っ?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
楓ちゃんの気持ち…!
泉谷 千咲
泉谷 千咲
直樹のことを好きになるって気持ち…!
泉谷 千咲
泉谷 千咲
私も…直樹に優しくしてもらって…それから好きになって…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
それまで一度も会話なんてしたこと無かったし…どんな人かも知らなかったのに…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
たった一瞬の優しさで好きになれたの!!
平井 楓
平井 楓
……っ。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
だからっ…だから…!
思いのまま…言葉がスラスラと口から飛んでいく…。
私も一緒なんだよって伝えたい…。
気持ちわかるんだよ。って…楓ちゃんに…。
平井 楓
平井 楓
…もういいです。
……
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…え…?
平井 楓
平井 楓
昼休み終わっちゃいますし、次移動教室なんで…私行きますね。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…え、…いやっ…ちょ…
スッ…
私を置いて…楓ちゃんは颯爽と教室へ戻っていってしまった…。
もしかして…
今の私の話…なんにも伝わってない…?
平井 楓
平井 楓
…っ…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ…!
いや、多分…
これが楓ちゃんなりの…覚悟…。
不器用だけど…ちゃんと決心したような顔…。
すれ違う一瞬だけ、私にはそう見えた_。

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