そうだ…
そうだよ…
私が楓ちゃんのこと…ひどい。ありえない。って思うようなことでも…
直樹は…そんな風に人を貶したりしない…。
そういう人じゃん…。
私は…直樹のそういう誰にでも優しいところが…
いや…きっとそう…。
楓ちゃんは直樹の優しさを知って…
…それって…
私も直樹の優しくて強くて…そんな所が好きだなって思って…
いつしか違うクラスでも廊下で探しちゃったり…一緒のクラスになれたら死ぬほど嬉しかったり…
恋…してたんだよ…。
楓ちゃんもきっと…
私の足は考える間もなく動き出した。
タッタッタ…!
一年生の教室は確かっ…!
走りながら楓ちゃんの姿を探していると
廊下を歩く彼女が見えた。
楓ちゃんの目の前で足を止めて…息を整える。
あれ?これ私…二股疑惑…どっちにしろ晴らせてない…?
いやでも今はそんなことじゃなくて…!
思いのまま…言葉がスラスラと口から飛んでいく…。
私も一緒なんだよって伝えたい…。
気持ちわかるんだよ。って…楓ちゃんに…。
……
スッ…
私を置いて…楓ちゃんは颯爽と教室へ戻っていってしまった…。
もしかして…
今の私の話…なんにも伝わってない…?
いや、多分…
これが楓ちゃんなりの…覚悟…。
不器用だけど…ちゃんと決心したような顔…。
すれ違う一瞬だけ、私にはそう見えた_。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。